同じ20年の時を過ごしたウイスキーで、一生忘れられない乾杯を――。そんなサービスが実現した。
キリンビールがこのほど開始した「人生を共に生きるウイスキー」。事業化に向けて昨年6月にクラウドファンディングを実施したところ、目標金額である1億円を開始からわずか4分で達成。クラファンサービス「Makuake」での歴代最速、応援購入の単日最高額を記録した。その後も共感や応援の声が多く寄せられたことから、事業を本格展開することになった。
19年~26年の間で各年に蒸留されたウイスキー原酒の中から希望のものを10万円(税別)で購入すると、キリンディスティラリー富士御殿場蒸溜所でその原酒を20年間にわたり熟成。その過程で一定期間ごとに熟成中のサンプルを届ける。

子どもの誕生時に購入して成長の節目ごとにサンプルを味わい、20歳の誕生祝いにウイスキーで乾杯――といった楽しみ方のほか、夫婦の記念日、自分自身の人生を刻む印など、思い思いの目的で利用が可能だ。
起案したのは、同社マーケティング部事業創造室の小島亨介氏。社内の公募制度で採用されたものの、クラファンで目標金額に達しなければ事業化は中止という背水の陣で臨んだという。
「なぜこれほどまでに熱狂的なご支援をいただいたのか。(寄せられた思いのなかで)語られていたのはお酒ではなく、お客様の『20年後の物語』だった」と説明する小島氏(6月2日の発表会で)。
「お客様は『一番好きなお酒はウイスキー以外』という方が過半数で、その方々が10万円という金額で20年後の新しい価値を買った。先行きが見えない時代だからこそ、未来への希望を買ったのだと思う」。
顧客との20年間にわたる約束を確実に守れるよう、製品は富士御殿場蒸溜所で一貫して管理。専用の基幹システムやWEBサイトを構築し、物流管理もグループ企業が手掛ける。
「不確実性が高いことへのチャレンジには、多くのリスクが付きまとう。それをヘッジしても新しい価値を生み出したい。乾杯の数だけお酒が人生を豊かにしてくれると本気で信じている。このサービスを通じて、お客様に忘れられない乾杯を提供していきたい」(小島氏)。




