農水畜産業野菜最先端植物工場で農業革新 ...
カナエ モノマテリアルパッケージ

最先端植物工場で農業革新 被災地復興と食料安保に貢献

 世界的な異常気象が農産物の安定供給、価格高騰など従来型農業に大きな打撃を与える中で、日本の最先端技術を活用した植物工場が注目を集めている。A-Plus(沼上透社長)は、福島県田村市で2020年12月から完全閉鎖型植物工場Farm&Factory TAMURAを展開。被災地の復興とともに、「安心安全」「安定調達・安定価格」「中食需要の増加」といった消費者ニーズへの対応を図る。沼上社長に今後の事業展望を聞いた。

  ◇  ◇

 Farm&Factory TAMURAではレタス類(フリル/ロメイン)を生産する。生産キャパは日産約1万2000株(1・2トン)。自動搬送システムを世界で初めて導入し、14台のモノレールが栽培ユニットを自動搬送する。栽培室内は完全に無人。包装・梱包作業も自動化し、省人化とともに衛生管理を徹底している。

植物工場Farm & Factory TAMURA
植物工場Farm & Factory TAMURA

 最大の差別化ポイントは独自の水耕方式にある。沼上社長は「当社は独立した栽培ユニットを採用。液肥を循環させず、定期的に交換する方式により雑菌の繁殖を防ぐ。消費期限が長く、完全無農薬の安心安全な野菜を天候に左右されず安定的に供給できる。露地物と比べて捨てる部分が少なく、廃棄ロスの低減も可能」と強調した。

 商品の販売先は広がりを見せる。大手コンビニのカップサラダやサンドイッチ、ホテル飲食店のサラダバー、地元スーパー・ベーカリーの調理パン、弁当などに向けた業務用商品(業務用5㎏バルク/業務用250g入りカット/業務用個包装)の販売が順調だ。

 今後はカップサラダなど加工商品の販売を強化する方針を示す。「高収益化に向けた新たな取り組み。工場にはもともと加工設備が備わっており、蒸しチキンなど具材を混ぜて完成品として提供する。すでに大手スーパーで実験的に展開したが、現在大半を占めるコンビニ向け業務用商品から好採算の加工商品の販売へとシフトしたい」。

 次なるターゲットはイチゴの植物工場の実現だ。「他社が展開するイチゴの植物工場は部分的な自動化。受粉にはミツバチを使い、病害の原因ともなりかねない。当社はFarm&Factory TAMURAで確立した独自の水耕方式による、自動化イチゴ工場を目指す。コンビニのデザート、イチゴサンドなどに向けた業務用需要が期待できる」と述べる。

 中長期的にはFC・合弁パートナーによるグローバル展開を視野に入れる。国内で確立した植物工場運営モデルを、「工場まるごと」パッケージとして横展開するイメージだ。

 沼上社長は「今後事業を拡大する上で、自ら工場を持たず、工場プランニングやデータ解析による栽培支援などコンサルティング事業に特化する考えだ。自動化機器・副資材の販売のほか、将来的には慣行農業への横展開、医薬・化粧品用植物生産に応用したい」と抱負を語った。

関連記事

インタビュー特集

ごま・きな粉の真誠 冨田博之社長 新領域への挑戦果敢に 「おつまみ」で新たな売場開拓

ごま・きな粉の真誠(愛知県北名古屋市)の25年12月期連結売上高は104億6100万円となった。前年をやや割り込んだものの、価格改定や相場変動で一部原料ごまの価格が軟化したことなどから粗利が改善、営業増益とした。

生産現場が潤う農業を 安定供給と安定価格実現 アムハイドロ・パシフィック ポール・マイルズ社長

気候変動や耕作地の減少、後継者不足など農業が抱える課題は多い。農作物を扱う流通・小売業にとっても、天候に左右されやすい不安定な供給量とそれに合わせた価格の変動など、問題点はいくつも挙げられる。

“お米の新たな発酵食品” 代替肉CoMeat®需要創出に挑む 跡部季子取締役

プロテインクライシスが叫ばれる昨今、キノコなど糸状菌から作られる代替肉(マイコプロテイン)が注目を集めている。2021年設立のアグロルーデンス(佐賀清崇社長)は、お米と麹で作った新たな発酵食品CoMeat®を展開。

Mizkan フルーティス刷新(後編) 「新・果実体験」を提供 リフレッシュしたい時に

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。家庭用では業務用で人気の「シャインマスカット」「あまおう」「白桃」を、家庭用・業務用の双方で「ざくろ」を新発売した。

Mizkanフルーティス刷新(前編) 果実のおいしさが主役の新製法 マーケティング本部 田中菜々美氏に聞く

Mizkan(以下ミツカン)は今春、食酢飲料「フルーティス」ブランドをリニューアルした。