逆光線(コラム)見えること、見えていないこ...

見えること、見えていないこと

 人間の思考には、必ず盲点が付いて回る。それは単に「見えない」のではない。「見えていないことに気づいていない」。それが盲点たるゆえんだ。

▼なんとなく疑問に感じていることがあった。世界地図を見ると、ニュージーランドや南アフリカなどはずいぶん「下のほう」にある。南極に近いということは寒いはずだが、むしろどちらも温暖なイメージだ。

▼緯度を調べてみると南緯・北緯の違いこそあれ、実はいずれも日本列島とあまり変わらない。ではなぜ「下のほう」と感じてしまうのか。地球儀では一目瞭然なのだが、よくある簡略な地図の多くでは南極大陸付近が省略されている。それに気づいていないだけだった。

▼AIに象徴される情報技術の発展で、様々なことが瞬時に「見える」ようになった――いや「見えると思う」ようになった。便利な世の中になったのは確かだが、見えている情報だけを過信することによる落とし穴も増えている。見えている事柄の背後にある、まだ見えていない、そしてそのことに気づいていない膨大な事柄の存在を気に留めたい。

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