香りを本業とする会社から、名刺代わりにと珍しいフレグランスカードをいただいた。ほのかな香りが付いたカードは、名刺入れなどに忍ばせておくと、名刺交換のたびに香りが楽しめるという。
▼香りの中身が面白い。織田信長が求めた天下の名香「蘭奢待(らんじゃたい)」の香りを再現したもの。全長160センチの巨大な香木は、時の権力者を魅了し、「天下一の名香」として謳われ、織田信長が切り取った記録も残されている。香りは正倉院に保存されている蘭奢待から剥落した数ミリの大きさの脱落片を借りて分析。その分析技術も素晴らしい。
▼にわか歴史ファンの自分も、蘭奢待の存在は知っている。NHKの大河ドラマにも蘭奢待をめぐるエピソードが描かれ、改めて名香に興味をもった。
▼オンラインが浸透し、取材相手と名刺交換する機会は減ってきたが、リアルな場面では名刺交換から始まるケースが多い。一回に数人と名刺交換する際は、相手と名前を合わせるのに一苦労だが、フレグランスカードのおかげで名刺交換も少し楽しみになり、香りを感じるたびに香料会社の顔が見えてくる。
