国産生乳の消費減少が続く中、酪農乳業界が一丸となり需要喚起に乗り出す。Jミルクなど8団体は11月12日、東京都内で合同記者会見を開き、農林水産省と連携する「牛乳でスマイルプロジェクト」のもと、消費拡大に向けた取り組みを一層加速させる方針を示した。学校給食の停止などで需要が一段と落ち込む冬に向け、国産牛乳の魅力を改めて発信する狙いだ。
会見では、8団体が消費拡大に向けた連携施策を表明。11月15日に「ミルクフェスin豊洲」でキックオフイベントを開催し、11月25日(予定)にはイベントやキャンペーン情報を一元的に発信するポータルサイトを開設。年度内には異業種とのコラボなどのマッチング機能も搭載し、業界の垣根を超えた提案を強化する。

生乳消費はコロナ下の巣ごもり需要で2021年にピークを迎えたが、飼料価格高騰等による乳製品の値上げが響き、その後は減少が続く。余剰生乳はバターや脱脂粉乳に回されるが、バターは外食需要で堅調な一方、ヨーグルト向けが伸び悩む脱脂粉乳の在庫が積みあがる。今年度は約8万4千トンに達する見通しで、在庫管理費や廃棄リスクも懸念される。Jミルクの渡辺裕一郎専務(写真中央)は「需要を喚起してなんとか出口をつくらなければならない」と危機感を示す。
冬場は飲用需要が一段と落ち込み、処理不可能乳の発生が懸念される。渡辺専務は「酪農家が安心して生産を続けるには、消費の下支えが不可欠。ヨーグルト機能性訴求やスープへの活用など冬場も多面的に魅力を発信する」と語る。
「牛乳でスマイルプロジェクト」は2022年に始動し、現在は約1000の企業・団体が参画。今期は、地域の牛乳文化を紹介する「ニッポンミルクガイド」(Jミルク)、日本シリアルフーズ協会とのコラボ企画(日本乳業協会)、牛乳を使ったカクテル企画(全国農業協同組合連合会)、イベントでの配達車両展示(全国牛乳流通改善協会)など、多角的な取り組みが進む。


