公益財団法人流通経済研究所(加藤弘貴理事長)は食品メーカー・卸売業・小売業を対象とする、食品ロス削減のための「商慣習見直しの取り組み等」の調査結果を公表した。
メーカー側の取り組みでは「賞味期限の延長」393社、「安全係数を0.8以上で設定」505社に拡大。小売側の「納品期限の緩和」も377社に拡大した。
同研究所では「賞味期限の延長や安全係数の見直しといったメーカー側の取り組みと、それを受け入れる小売側の納品期限緩和が両輪となって進んでいる」とした。
また、食品メーカーにおける「物流の改善」に取り組む事業者が前年比65社増、小売事業者で常温加工食品の「販売期限の延長」に取り組む事業者が前年比54社増と進展した。また本年度からは新たに「てまえどり」の取り組みについても調査を行った。
研究員のコメントとして「いずれの取り組みも増加傾向で業界全体として望ましい状況にある。今年度は販売期限の延長で大きな進捗が見られ、小売業が1/3ルールを見直して販売期限を柔軟化し食品ロス削減につなげようとする状況が見てとれる」と評価した。
「物流の改善の進捗も大きく、2024年問題を契機にこれまでの商慣習を見直す機運が高まっている。ワーキングチームで取り組んできた納品期限の緩和も377社に拡大し、400社も視野に入ってきた。今後は商慣習を見直している企業が増えている・大勢であることをもって、他社への協力をさらに呼びかけていきたい」とした。
流通経済研究所では、2012年から「食品ロス削減のための商慣習検討ワーキングチーム」を設置し、食品メーカー・卸売業・小売業を対象とした「商慣習見直しの取り組み等」に関する調査を実施している。調査結果を広く社会に発信し、一般消費者にも食品ロス削減に積極的に取り組む事業者の商品や店舗を応援してもらうとともに、事業者の取り組み拡大を呼びかけ、食品ロス削減を目指している。なお、調査は2025年8月から9月にかけて実施。560社から回答を得た。


