カゴメ アーモンド・ブリーズ 「濃厚」タイプ発売し「一気に仕掛ける」 ダルビッシュCM起用で男性にも浸透

カゴメが今年3月にアーモンドミルクブランド「アーモンド・ブリーズ」の中味・パッケージをリニューアル発売してから半年が経過した。10月14日より史上最も濃厚な「アーモンド・ブリーズ 濃厚アーモンドミルク」を加え、濃厚な味わいと低糖質を両立させたアーモンドミルク を訴求することで拡販を目指す。そこでマーケティング本部飲料企画部2グループの佐古田雄馬担当課長に現況と今後の方針を聞いた。

佐古田氏は植物性ミルク市場について、2024年のアーモンドミルク市場は約120億円と、豆乳市場の約600億円(前年比108%)に比べて大きな開きがあったが、今年1~8月のアーモンドミルクの伸長率は前年同期比約1・5倍の144%と植物性ミルクの成長を支えていると見ている。

長期トレンドとして、牛乳消費の減少、少子高齢化による飲用者の減少、牛乳によるカロリーを避けたい人が増加する中、豆乳を含めたタンパク質が支持されている。こうしたトレンドを踏まえ、競合大手がCMを投入し、コミュニケーションや販促を強化したことでマーケットが拡大。「アーモンド・ブリーズも市場参入したことでマーケットが活性化され、競合社と当社が牽引したことで市場が盛り上がった」と見ている。

新製品の「アーモンド・ブリーズ 濃厚アーモンドミルク」
新製品の「アーモンド・ブリーズ 濃厚アーモンドミルク」

「アーモンドミルク市場は、最大手が約9割のシェアを握り、残り1割を当社と3番手追い、これ以外に乳業系や輸入品、PBが点在している」。

植物性ミルク最大手の豆乳は昨年、イソブラボン効果で伸長したが、「豆乳ユーザーが植物性ミルクのルーティーンにアーモンドミルクを組み込み、健康に敏感な若年層の試し飲みも進み、購買層は女性が多いが、男性にも支持され、トライアルが進んだ」。

発売時には、「アーモンド・ブリーズ」飲飲歴10年のメジャーリーガーのダルビッシュ有さんと、海外を拠点にグローバルな活躍をしているモデル・タレントのローラさんをアンバサダーとして起用し、テレビCMなど放映したが、10月からは、ダルビッシュ有さんを印刷した200mlのダルビッシュパッケージを発売。「お客さんには、体調管理・健康管理にストイックなダルビッシュ有さんが愛飲している商品なら本物だと捉えられているようで、しかも低糖質なので安心して手に取りやすく、これが男性から支持されている理由だ」と言う。

CMによるSNSの反応は、「ダルビッシュが飲んでいるなら自分も飲んでみようという憧れもある」ようで、週1本以上飲むヘビーユーザーは、ある程度の年収があり、健康意識が高い「イケてるおじさん」に支持されている。

商品特徴について「低糖質が競合にはない価値としてうまく機能し、しかもコクがあって飲みやすいため、食生活の中で間食として摂り入れられている」。

新製品として、ブランド史上最も濃厚な「アーモンド・ブリーズ 濃厚アーモンドミルク」を10月14日から新発売する。現在のアーモンドミルク市場は、豆乳や牛乳にはある“特濃”タイプの構成比は低い。ミルクテイストを好む層にとって、嗜好に合う商品は少なく、選択肢が限られているのが現状。こうした背景から低糖質と濃厚さを両立させた濃厚アーモンドミルク」を発売する。

商品は、カリフォルニア契約農園のアーモンドを使用し、ペースト量を既存品の1.3倍に増量。濃厚な味わいと、1本(200ml)あたり75kcalという低糖質を両立した、満足感のあるアーモンドミルクに仕上げた。

9月30日に開催された「おいしい博覧会2025秋冬」で新製品を展示)
9月30日に開催された「おいしい博覧会2025秋冬」で新製品を展示)

新製品は、「アイデンティティである低糖質を実現しながら、濃厚な味わいも実現した」と同社。「牛乳や豆乳、アイスクリームには特濃やリッチタイプの商品が存在するが、アーモンドミルクには濃厚商品は少ない。日本人はミルク感が強く、濃い味わいのほうがおいしいというイメージがあるようで、これに低糖質が加わればチャンスが広がる」とみている。

飲用シーンは朝食、昼食、3時のおやつ時、仕事の合間などに、カラダを気遣いながら栄養を補給したい人を狙う。ターゲットは変えずに、無糖・微糖タイプに振り向かなかった主に30~50代の男性をメインターゲットに位置づけている。

「濃厚」は10月14日に発売されるが、「多くの量販店での販売が決まり、コンビニでの販売にも手応えを掴んだ」。従来、コンビニは「微糖」中心に売れたが、「濃厚」が加わったことで、豆乳のルーティーンに加わり、「大手のコンビニからは今までのアーモンドミルクの中でいちばんおいしい」と評価された。

「濃厚」発売と同時にダルビッシュ有さんを起用したTVCMを放映。ダルビッシュパッケージも発売し、「一気に仕掛ける」。

業務用展開では「ホテルのインバウンド需要の引き合いが予想以上に多い」。朝食のビュフェにおいては、牛乳をアーモンドミルクにスイッチするケースも進んでいる。外国人従業員が多い外資系企業の社員食堂やローカルの旅館やホテルチェーン、小規模カフェにも提案するほか、スイーツの生クリーム代替としても提案。

今後の展開は、ブルーダイヤモンドと組んだことで、素材から検討できることを活かしながら、他の容器や食品も含め、アーモンド事業として領域を拡げることを検討する。