ワインは飲みたいけど「選ぶのが難しい」「合わせる食事に気をつかう」。サントリーではそんなハードルの高さを打ち破る提案で、日本の食卓に新たな定番ワインを根付かせる挑戦を行う。
同社の祖業であるワイン。その原点は、1907年発売の「赤玉ポートワイン」にある。創業者・鳥井信治郎氏が「世界のどこにもない日本の新しいワイン」を志し、日本人の嗜好に合わせたものづくりで新しい文化を切り開いた。
この原点に立ち返り、新たに発売するのが「赤玉プレミアムブレンデッドワイン」。目指したのは“日本の食を引き立てる赤ワイン”だ。
「消費者調査ではワインの飲用意向はビールとともに高いが、実際の飲用率はビールと大きな開きがある。日本の食に合わない、ちゃんとした洋食を準備しないと、といったイメージがあり、飲用の壁になっている」。8月20日の発表会で、常務執行役員ワイン本部長の吉雄敬子氏が説明した。
約3万食の食卓の写真を分析したところ、比較的多くワインが並ぶ洋食の献立に比べて、和食ではビール類などが主体。砂糖やみりんなどを使う甘みのある味付けが多い和食と、ワインとのマリアージュが難しいためとみる。
そこで、和の味付けと相性の良い味わいを追求。複数の厳選したワインにブランデーやハーブスピリッツといった原料酒をブレンドし、新鮮で華やかなぶどうの香り立ち、熟成感や複雑さのある味わい、心地よい余韻が感じられるよう仕上げた。

市場の主力を占める800円以下のデイリーワイン、2000円以上のプレミアムワインに比べ、中間の価格帯では国内産ワインが1割程度と手薄になっていた。税込1300円程度の店頭価格を想定する新商品で、選択の幅を広げる。
長く親しまれる既存品「赤玉スイートワイン」の認知度は45%(同社調べ)と、競合品と比較しても高い。培われたブランド力を武器に、安心して購入できる国産品の提案で“日本の新定番ワイン”確立に挑む。
「赤玉プレミアムブレンデッドワイン」は9月16日全国発売。750㎖瓶、アルコール度数12%。オープン価格。同社の瓶入りワインとしては13年ぶりとなるTVCMの放映も計画している。