日清製粉グループ本社(瀧原賢二社長)は8月7日、都内で「夏季食糧記者会」を開催した。当日は瀧原社長の他、グループの日清製粉・山田貴夫社長、日清製粉ウェルナ・岩橋恭彦社長、日清製粉デリカフロンティア・池田晋一社長、オリエンタル酵母工業・新井秀夫社長が出席し、各社の事業報告を行った。
瀧原社長はグループ概況について「第1四半期の着地は予想通り。引き続き重要施策の“一丁目一番地施策”に取り組む」と述べ、各施策の現況と進め方を説明した。事業ポートフォリオの再構築によるグループ成長力の促進については、製粉事業で水島工場(5月稼働開始)、米国サギノー工場、ウィンチェスター工場の進捗について述べた上で「加工食品、中食・惣菜事業を中心に戦略投資を進める。不採算事業については、選択と集中の中で再編する可能性もある」と示唆した。
豪州製粉事業は中計以降、経営体制の強化で収益拡大に向けた構造改革を策定。サプライチェーンを見直し合理化と同時に、高食物繊維小麦粉・Wise Wheatブランド製品で収益効果の上昇に期待をかける。インドイースト事業は高い発酵力のある菌株を上市し、付加価値提案を進めて価格改定につなげる。
豪州製粉事業、インドイースト事業についてはそれぞれで改善が進み、具体的な方針を決定している。
また水島工場で導入した最新の自動化、デジタル技術は、中食・惣菜事業へも横軸展開し、自動化省人化施策を加速化させていく方針。
各事業概況では、製粉事業で山田社長が新コンセプト「その想いに、小麦粉でこたえたい。」「食文化創発カンパニー」について、「創意工夫を凝らし顧客と一体になって食文化を創造し広げていく」と決意表明し、高食物繊維小麦粉・アミュリアを活用した国内外市場での創造と拡大、国内市場においては特徴ある各産地小麦の開発支援で地域食文化の創発と活性化に寄与していく方針を述べた。
加工食品事業は、生パスタを切り口にした新市場創造戦略を岩橋社長が説明。常温、冷食で提案するとともに、冷食家庭用「RICH―NA」シリーズなど付加価値品による市場活性化について述べた。業務用についても、人手不足の課題解決型新商品のラインアップで提案強化する。海外事業(ベトナム)については「現在3000店舗まで導入が進んでおり、冷凍パスタ、プレミックス等の販売」も予定している。
グループ内の成長事業の一つ中食・惣菜事業については、池田社長が「商品提案力の強化でトップラインを拡大し、自動化、省人化を加速させ事業基盤の強化を進める」とし、トオカツフーズでのDX推進による生産性改善の成果と今後の取り組み、冷凍弁当など付加価値化に向けた取り組みを説明した。
酵母・バイオ事業は新井社長が、インドイースト事業の進捗状況と今後の施策、国内ではピザ市場向け提案強化策として生地向け製品、ピザソースを紹介した。