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農水畜産業米{コメ}神明HD 藤尾益雄社長 農業衰退に歯止めを 儲かる農業、就農を支援
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

神明HD 藤尾益雄社長 農業衰退に歯止めを 儲かる農業、就農を支援

神明ホールディングスの藤尾益雄社長は、コメをはじめ日本の農業が直面する課題と将来の食料需給予測について語り、同社の農業支援の取り組みについて説明。国内最大級の農業法人・舞台ファーム(宮城県仙台市)とこのほど業務提携を締結して、持続可能な農業、安定した食料生産を目指す考えを示した。

  ◇  ◇

1995年に414万人だった農業就業者は現在111万人まで減少した。このうち65歳以上が全体の70%以上を占め、49歳以下は11%にすぎない。コメの需給バランスは、国内消費が減少したが訪日外国人の増加により需要が押し上げられ、令和4年5月から5年6月にかけて、生産量670万tに対して需要量が691万tと21万t上回った。以降は備蓄米が加わり、現在需要を上回っているが、近年は民間在庫の低水準状態が続いている。

全国米穀販売事業共済協同組合(全米販)の「米穀流通2040年ビジョン」によると、コメ農家は2015年に115万人だったのが現在80万人まで減り、40年には30万人、生産量363万tまで減少する予測。これに対して需要は493万tの見通しで、国内自給率が高いコメでも130万tの供給不足が生じる可能性がある。野菜や果実についても同様の傾向があり、特に果実は面積が40年間で半減していて、価格高騰につながっている。

日本の食料自給率38%は先進国の中で最下位。世界の人口は2050年に97億人に達すると予想されるなかで、現在すでに穀物の消費量が生産量を上回っている。将来的に需給バランスが崩壊する可能性がある。日本はいつまでも輸入に頼るべきではない。

当社は「日本の農業・日本の食を守る」という使命のもと、農業支援策に取り組んでいる。「農業のプラットフォーマー」として、生産者が抱える異常気象対策や資金問題、担い手不足などの課題に対する解決策を提案、提供する。

4月1日より「川上事業戦略本部」を設置した。農業現場に密にかかわり、生産計画策定などの支援や農業就農者の育成にかかわるとともに、農業技術開発を行う。

川上事業としてこれまでやってきたことは、コメの品種改良と開発、契約栽培の推進など収入減少リスクを低減する。営農管理システムの構築やデジタルアグリによる営農支援。小池農業との共同事業による儲かる農業の実証。生産法人5社への出資、大型生産者の育成など。

今回の舞台ファームとの業務提携(既報)では、持続可能で安定した食料生産に向けて取り組み、営農型ソーラーシェアリング施設の共同事業、施設栽培による安定供給、人材育成、スマート農業の普及を進めていく。特に舞台ファームが運営する、日本最大級の植物工場「美郷グリーンベース」での協力を強化し、両社の技術やノウハウを生かした取り組みを推進していく。

また、すでに取り組んでいる「雪国まいたけ」や「名水美人」(もやし)などについても、舞台ファームとの協力によりさらに強力に農業支援を進め、日本の食料安定供給に貢献していく。

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