梅酒・梅シロップ漬けに適した青梅が5月終盤から市場に出回り始め、2025年氷糖商戦は後半戦に突入した。今年の全国の梅の収穫は平年を下回る不作の見通し。2020年以来の凶作となった昨年を上回るものの、最大産地・和歌山では過去10年で最大規模の雹被害が発生。梅干しなど加工用に向かうことも想定され、青梅の流通量への影響が危惧される。氷糖メーカー各社は、青梅出荷がピークとなる6月第一週の動向を注視している。
全国の梅出荷の約7割を占める和歌山は、主力の南高で前年比123%・平年比62%、古城で前年比199%・平年比59%と2年連続の不作となる見通し。4月6~14日に発生した雹被害は過去10年で最大規模(約47億円)とされ、等級が著しく低下している。
全国二位の群馬でも4月11日に広範囲で雹被害が発生。市場への出荷は6月上旬から本格化するが、青梅の出荷量は前年並み程度か前年以下になる見通し。和歌山が2年連続の不作となった影響で加工用在庫が枯渇。「青梅が加工用に流れる可能性もある」(ウェルネオシュガー・細谷伸之営業第三部長)とみられている。
氷糖商戦の序盤4~5月の荷動きは各社ともスロースタートを余儀なくされた。昨年は梅凶作で6月氷糖出荷が前年比40~50%に激減。「流通段階でも多くの在庫を抱えたため、今年4~5月の出荷は前年比7割程度にとどまっている。青梅が出てきてから6月以降の帰り注文に期待したい」(中日本氷糖・門坂憲司営業部部長)。
一方、出始めの青梅の店頭価格は昨年と同様の高値をつけている。1㎏ベースで1500~2000円ほどで、決して手ごろな価格とは言えない。「氷砂糖自体の価格改定(値上げ)も実施させていただいており、梅酒漬け離れへの影響が気がかり」(DM三井製糖・吉原一晶事業統括部長)との声も聞かれる。
2024年の氷糖出荷は1万1971t(前年比15.8%減)と業界はかつてない落ち込みを経験した。6月以降の梅の流通量への期待は例年以上に大きいが、統計データには表れない「庭先の梅」は豊作との支援材料もある。2025年氷糖商戦は「期待を込めて1万3000tラインを目指す」こととなりそうだ。
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