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加工食品漬物「漬物がある食卓」次世代へ 野菜加工の横展開で収益強化 新進・籠島正雄社長

「漬物がある食卓」次世代へ 野菜加工の横展開で収益強化 新進・籠島正雄社長

福神漬トップメーカーの新進は2024年に創業130周年を迎えた。近年は漬物の消費拡大とともに、チルドポテトをはじめとした新規事業にも注力している。就任から10年、市場縮小が進むなか収益力強化を推し進めてきた籠島正雄社長に今期の販売動向および今後の展望を聞いた。

  ◇ ◇

――今期の売上はいかがですか。

今期の売上については、家庭用が主力の福神漬が堅調かつメンマが伸長し、漬物全体でもプラスで推移している。市場縮小はここ1~2年で底をついたと感じる。福神漬やメンマなど、メニューの付け合わせやトッピングで提供されるものに関しては、カレーやラーメンの人気からも増加傾向だ。若年層への訴求を引き続き行うとともに、メンマは設備投資を含め生産強化する。

業務用に関しては、チルドポテトが引き続き好調で売上に貢献した。漬物業界では原料野菜の不足・高騰が問題となっているが、こちらに関しては北海道産のジャガイモが豊作傾向で大きな心配はしていない。当社は北海道以外にも複数の調達ルートを確保しており、安定供給体制を整えている。野菜をペーストにしたミクロペーストの事業も多くのお問い合わせをいただいている。

当社の主力カテゴリーは漬物だが、他事業の拡大に伴い、売上構成比も変化してきた。漬物は堅調を維持しつつ、チルドポテト事業をはじめとした漬物以外の事業が伸長し、現在は売上の半分を占めている。今後、業務用の比率はもう少し増えると予測している。

――福神漬の認知普及の取り組みについて。

昨年も福神漬の認知啓蒙活動を行った。福神漬はかつてカレーの付け合わせの定番だったが、近年は外食カレーチェーンを中心にいろいろなトッピングが提案され、その感覚も薄れつつある。だからこそ、われわれには福神漬の価値再認知に取り組む役割がある。昨年は、4月に恒例の「ホビークッキングフェア2024」に出展し、学校(しんしん小学校)をテーマに、社会科の授業をイメージして仕立てた当社の歴史と商品などの変遷を背景に綴り、給食のメニューとしてカレーに福神漬を合わせて提供した。

直近だと、昨年11月の「神田カレーグランプリ2024」で当社の福神漬を試食提供した。若い人たちからも好評で、手ごたえとともに需要はまだ眠っていると感じた。

――今後の展望について教えてください。

今までのように様々なバラエティーの漬物を販売しても、それが根付いて定着する時代ではないので、主力品の収益確保は必須だ。ロングセラー商品は大切にしながら、今後はチルドポテトをはじめとした野菜加工事業にも注力していく。

また、野菜の不作や品質低下が問題となるなか、高品質な商品を安定供給し続けるためには、川上である原料の調達・確保の部分に向き合わなければならない。原料確保や一次処理の内製化も将来的に検討している。

先日、当社社員が土壌医活動に尽力したとして、「優良土づくり推進活動表彰」会長賞を受賞した。土づくりの専門知識を持った社員がいることは大きな財産。今回の受賞を通じて、「土壌医」という資格に注目が集まり、当社が行っている土壌改良への取り組みが認知されたのではないだろうか。

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