量から質の競争に転換 賃金と物価の好循環実現へ
食品業界の幕開けを飾る、酒類食料品業懇話会主催による新年賀詞交歓会が1月6日、東京水天宮のロイヤルパークホテルで開かれた。メーカー、卸のトップら昨年を上回る240社838人が参加。新たな年の飛躍を誓った。
主催者を代表してあいさつした國分勘兵衛・国分グループ本社会長兼CEOは、「今年は暦の関係で長いお正月休みとなった。寒波の影響で大雪に見舞われた地域もあったが、太平洋側は天候に恵まれ、皆さま良いお正月を迎えることができたのではないか」と語った。
昨年を振り返り「年初から物流2024年問題への対応が心配されたが、製配販三層の知恵と協力・協調によって、大きな混乱もなく過ごすことができた。新しい資本主義、経済の好循環に向けて、シェア競争や過当競争から脱却し、持続可能でサステナブルな競争へ、レッドオーシャンからブルーオーシャンへと、(業界全体が)舵を切ることができた」と手応えを示した。
食品業界を取り巻く情勢について、「価格改定は続いているが、賃金の引き上げにより、実質所得の上昇に近づいてきている。レッドオーシャンに後戻りすることなく、これまでの売上・量の競争から、質の競争を続けていくことが大事だ。最適流通の実現に向けて努力していく」と語った。
国内市場は「少子高齢化、人口減少に歯止めがかからず、環境は厳しさが増している。円安や原材料価格の高騰、エネルギー価格等のコストアップも予想されるが、(今後ますます深刻化する)人手不足への対応がより重要になる」と指摘した。
そのうえで、「今後も賃上げの動きが広がっていくことを期待している。原材料やエネルギー価格の高騰による価格改定から、これからは賃金の引き上げを理由とした価格改定を前面に打ち出し、実行していただきたい」と語った。
そして最後に「今年は巳年。蛻変(ぜいへん)というように、蛇は脱皮を繰り返すことで成長する。縁起の良い年でもあり、皆さまとともに発展していきたい」と祝辞を述べた。
続いて、今年の年男・年女29人を代表して、サントリーフーズの小木曽茂樹社長があいさつ。「巳年は、変化と再生を繰り返しながら柔軟に発展していく年といわれている。今年も様々な変化が起こると思うが、業界の発展に尽力していきたい」と力強く語り、乾杯の発声を務めた。
中締めでは京谷裕・三菱食品社長が「元日の日経新聞の社説の見出しに『変革に挑み、次世代に希望をつなごう』とあった。不確実な未来に怯むことなく、時代の変化に合わせた新たな秩序づくりに挑み、次世代に希望をつなぐ道筋をつける年にという内容だった。まさにその通りだと思う。今年は昭和100年、戦後80年の節目でもある。食品流通業界もこれまで手つかずであった、少々時代遅れの制度や慣習を棚卸しして、新たな時代にふさわしい適正で持続可能な姿に作り変えていこう」と呼びかけた。