サントリーにはパレットの製品間の隙間をなくしてほしい――。
10月18日、浦和美園配送センター(サントリーロジスティクス埼玉支店)でトラックドライバーは取材に応じ、荷主への要望についてこう返した。
効率的な輸送に欠かせないパレット(荷台)。飲料の出荷は、ケースをパレットに積み上げ(パレタイズ)、そのパレットをフォークリフトでトラックに積み込んで行われる。
この際、パレタイズされたケースの間に隙間があると、フォークリフトでの運搬など輸送中の振動でケース同士がぶつかり合いやすくなり、ブレーキをかけたりすると破損の恐れが生じる。
サントリーホールディングスの塚田哲也サプライチェーン本部物流調達部部長は、同センターの出庫スペースにパレタイズされた飲料の良い例と悪い例について説明。
好事例の1つに「伊右衛門」のパレタイズを取り上げ、ケース間の隙間が少ないことを指し示す。
一方、悪いパレタイズの一例としてオーバーハングを挙げる。
オーバーハングとは、積載貨物(ケース)がパレットからはみ出している状態のこと。トラックで輸送する際、パレット間に緩衝材やコンパネを挟んだとしても破損の可能性が高まるとされる。
パレタイズされたケースの間の隙間にも緩衝材を挟むという手もあるが、手間を要することが難点となっている。
対策の1つに、荷姿を起点にしたスリムな容器設計がある。
「丸形状の容器は四角の容器よりもケース内に空洞が生じやすい。さらに容量を増やすと容器を高くする、あるいは、胴部を広くしなければならない。パレタイズには高さ制限があり、容器設計から考えないと積載効率がよくならない」と説明する。
この課題解決に向け、今春からケース内の隙間を極力なくすべく、積載効率が高い容器形状を「伊右衛門」「GREEN DA・KA・RA」「サントリー烏龍茶」3ブランドの一部商品(600mlPET)に採用。
これにより、パレット1枚に積めるケース数を従来の35ケースから45ケースへと増加させた。
容器デザインはブランド戦略の要であり意匠性も問われることから、今後はブランド戦略を考慮しながら対象商品を慎重に判断し段階的に積載効率が高い容器形状の導入を進めていくとみられる。