13.8 C
Tokyo
13.7 C
Osaka
2025 / 12 / 07 日曜日
ログイン
English
飲料系酒類ワイン 同質化脱却へプレミア化で魅力磨く メルシャン、チリ生産者との協働に力

ワイン 同質化脱却へプレミア化で魅力磨く メルシャン、チリ生産者との協働に力

「ワインのプレミアマイズによる市場魅力化、新規ユーザー獲得によるすそ野拡大、そしてグローバル市場拡大に力を入れる」。

3月に就任したメルシャンの大塚正光社長は13日の会見で、ワイン市場活性化に向けた方針を表明。チリNo.1ワイナリーであるヴィーニャ・コンチャ・イ・トロ社との取り組みを通じ、ワイン本来の魅力を伝える考えを示した。

同社によれば、ワイン市場の直近8月の実績は前年同月比95%。飲酒人口の減少に加え、RTDなど他カテゴリーへの需要流出も進むワインは苦戦が続く。

「さらに国内市場では低価格帯の構成比が拡大。コモディティ化や同質化が起き、ワイン本来の価値が伝えられていない」(大塚氏)。

こうした考えから、ワインのユーザーを再定義。従来の「ライト」「ミドル」「ヘビー」など飲用頻度に基づく区分を見直し、顧客の価値観やライフスタイルを改めて分析。自らの感性を重視する「自分らしさ層」、産地や原材料を吟味して価値あるものを選ぶ「こだわり層」のほか、「健康志向層」「やりくり層」と4つのセグメントに分類した。

これに基づく価値提案で新たなユーザーをつかむとともに、同質化を脱するべくプレミアマイズ戦略で既存ユーザーへもアピール。さらにグローバル市場の拡大へ、日本ワイン「シャトー・メルシャン」の輸出事業を強化し、30年までに売上構成比20%を目指す。

コンチャ・イ・トロ社と昨年から取り組む「パシフィック・リンク・プロジェクト」。日本とチリの造り手が両国を行き来し、グローバル展開拡大を目指す「シャトー・メルシャン」と、「コンチャ・イ・トロ」の日本向けチリワインを相互に造る試みだ。

「コンチャ・イ・トロ アミシス2022」
「コンチャ・イ・トロ アミシス2022」

17日から発売したプロジェクト商品第2弾「コンチャ・イ・トロ アミシス2022」は、チリ産ブドウのポテンシャルを最大限に生かしつつ、調和のとれた上品な味わいを特徴とするシャトー・メルシャンのスタイルと融合。豊かな果実感と滑らかなタンニンが心地よいワインに仕上げた。

来年は日本から次世代の造り手を約2か月チリに派遣し、持続可能なワイン造りについて知見を交換する。また日本ではコンチャ・イ・トロ社から迎えた造り手とともに、よりグローバルを意識した味わいのワイン造りに挑戦。第3弾として、日本固有種のブドウ「甲州」を使った白ワイン「甲州 アミシス」を来春発売予定だ。

コンチャ・イ・トロ社でテクニカル・ディレクターを務めるマルセロ・パパ氏は「われわれにはチリでのワイン造りについてさまざまな経験があり、またメルシャンは日本だけでなくボルドーでの経験もある。さまざまな文化的背景をもった醸造家たちがともに作り上げるという点で、このプロジェクトは革新的だ」と、今後への期待感を示した。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。