UCCグループは、コーヒー栽培のための森林破壊を防ぐべく「森林破壊ゼロ宣言」を制定した。
8月9日、取材に応じたUCCジャパンのサステナビリティ推進室の中村知弘氏は「森林破壊をしないことを宣言するという世界的な潮流や、パートナーの方々から目標設定の有無をたずねられる機会が増えたことを受け、期限や定量的な目標を定め発表した」と語る。
「森林破壊ゼロ宣言」では、遅くとも2030年までに、森林の破壊や転換を伴わないことが追跡可能な形で確認されたコーヒー豆のみ製品に使用することを目標に掲げる。
中間目標としては、2025年に同社が取り扱うコーヒーのうち50%以上で、森林破壊や転換を伴っていないことが確認された豆を使用することを掲げている。現在の割合は、約20-25%だという。
「今年12月にはEU森林破壊防止規則が発効されることで、森林破壊されていないことの証明がないコーヒーの輸出入がEUでは不可能になる。これに対応すべく、森林破壊を伴っていないことが証明されたコーヒー豆の使用量を増やしていく。新製品などを足し合わせることで、25年には50%を達成できると考えている」と述べる。
併せて、UCCグループが農地支援活動や自然環境の保護活動を優先的に行う「戦略的生産国」を決定した。
決定には国際NGOコンサベーション・インターナショナルによる自然に関わるリスク分析結果などの複数の視点を踏まえて、ブラジル、ベトナム、タンザニア、ウガンダの4か国を制定した。
まずは、自然保護活動に寄与しているコーヒー豆を、UCCグループが高く買い取るなどして生産者の自然保護活動を促進していく。今後は、各地域に合わせて、さらに踏み込んだ活動も行う予定。
中村氏は「生産性が上がり、かつ土壌保全など生態系の保存にもつながるというのが最も望ましいかたち。ただ、自然保護活動のやり方がわからない地域や、取り組みを進めることが難しい地域もあると考えている。我々が産地に入って投資や支援を行い、サステナブルな農園経営をサポートすることも検討している」と説明する。
UCCグループは2022年にサステナビリティに関する方針を統一し、「UCCサステナビリティ指針」を制定。今回の「森林破壊ゼロ宣言」や「戦略的生産国」の制定も、サステナビリティ指針の目標に向けた取り組みの一環となっている。
「将来的には、コーヒー豆の産地の課題とその改善というストーリーとともに、消費者の方に製品をお届けしたい。ネイチャーポジティブに向けた活動は、消費者の方にご理解いただきご購入いただけると考えている」との考えを明らかにする。