10.8 C
Tokyo
4.9 C
Osaka
2025 / 11 / 23 日曜日
ログイン
English
加工食品調味料・カレー類長期経営ビジョン実現へ ヤマキ・城戸善浩社長に聞く(後編) 3つの軸で事業運営
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

長期経営ビジョン実現へ ヤマキ・城戸善浩社長に聞く(後編) 3つの軸で事業運営

ヤマキは長期経営ビジョン「YAMAKI Vision 2035」で2035年に向けた事業運営の軸として「既存の価値提供モデルの拡大・深掘」、海外での「国内の既存価値提供モデルをカスタマイズしつつ地理的横展開」、「新たな価値提供モデルの開拓」の3つを掲げる。国内外でアクションを続け、2035年までに目指す姿「世界の鰹節屋・だし屋、ヤマキ。」の実現を目指す。事業運営の軸を城戸善浩社長に話を聞いた。

――国内での「既存価値提供モデルの拡大・深掘」について。

城戸 人口減少と高齢化に伴うマーケットのシュリンクという未来があり、加えて家庭内での調理も減っていく。国内家庭用のマーケットはシュリンクし、インバウンドを含む外食・業務用のマーケットはまだ成長していくとなると、そのシフトに対応した商品やサービスを展開していかなければならない。

一方で「割烹白だし」のような商品もある。今年で発売30年を迎え、おかげさまで現在も成長の途にある。マーケットの構造が変化していく過程で新しい味や新しい使い方が出てくる可能性はむしろ大きい。国内家庭用のマーケットについては変化に対応しながら深掘りしていくことだと思う。

当社は歴史的に簡便性の軸を事業の軸にしてきたが、近年はそこに健康軸が加わっている。減塩タイプの「お塩ひかえめめんつゆ」の販売が好調だ。「めんつゆ」は醤油に比べ、いろいろな味を入れられるし、いろいろな技術を使える。商品の価値が高まれば受容度が高まっていく。これからこういうことがどんどん起きると思われ、どんどん進めていこうと思っている。

健康軸については、現在主軸としているのは減塩だが、かつお節・だしにはまだまだ健康機能があると考えている。体感的な部分だけでは難しいため、その機序をしっかりと解き明かしていかないといけない。

また、業務用の事業領域でいえば、若い営業スタッフたちは、これまでは接点がなかった販売先にどんどん行っている。それによりパスタのだしや味のベースになったり、パンに使われるなど使用領域が拡大している。調理科学的な機能を含め、かつお節・だしにはいろいろな使い方があり、そういう部分での事業領域が広がりつつある。国内でもやることはたくさんある。

――海外での「国内の既存価値提供モデルをカスタマイズしつつ地理的横展開」について。

城戸 「世界の鰹節屋・だし屋、ヤマキ。」になっていくため、国内事業のモデルを海外に持っていく。必ずしもそのままではないかもしれない。現地の味覚や習慣と結び付きながらフュージョンしていくことが大切だと考えている。いろいろな国や地域と結び付くことで、その国や地域の風土に合ったメインストリームの味になっていく。それを目指していく。輸出ではなく、現地生産・現地販売に切り替えたのは、そういう目標があるからだ。

――国内外での「新たな価値提供モデルの開拓」について。

城戸 深掘りすること、別の場所へ行くことに加え、3つ目として情緒的な価値を掘り起こしていかないといけない。暮らし、価値観、また「コト」とも言われるが、時間といったほうがいいかもしれない。調理をする時間、調理をする自分、誰かと一緒に調理をすることなど、そういったパーソナルな価値である。料理を題材に新たな価値や暮らし、時間の使い方などがでてくると良いと考えている。

60歳以下の世代になると、かつお節を見たことのある人は限られるかもしれない。ただ、味と香りは伝わっていたりするもので、そこを結び付けていくこと、つなぎ合わせることで体系的な記憶になっていくのではないか。そういうことも次の世代に向かって価値のあること、意味のあることになるだろうと思っている。

関連記事

インタビュー特集

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

明星食品 新提案「麺の明星 主食麺宣言!」 4つの軸の袋麺アレンジで食事性アップ

明星食品は、こだわりの麺技術で開発した商品ラインアップを全面に押し出し、新たに「麺の明星 主食麺宣言!」と銘打ったプロモーションを大々的に展開している。

イチビキ 中村拓也社長 豆みそ・たまりNo.1の矜持を 人口減睨み業務用・海外強化

安永元年(1772年)創業の醸造・食品メーカー、イチビキ。今年6月20日付で同社社長に就いた中村拓也氏は、98年入社。

「大豆ミート」対談 マルコメ・日本製鋼所 次世代型食品へ課題と提言

健康志向が高まり、プラントベースフード(PBF)にも関心が集まる中、2023年9月に大豆ミートメーカー5社が発起人となり、「日本大豆ミート協会」が設立された。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点