14.8 C
Tokyo
10.9 C
Osaka
2025 / 11 / 26 水曜日
ログイン
English
小売CVSファミリーマート「金利のある世界」にリテールメディア戦略加速 顧客との強固な絆づくりへ放つ3本の矢とは?
2025台湾食品調達商談会 in Osaka by 台湾貿易センター

ファミリーマート「金利のある世界」にリテールメディア戦略加速 顧客との強固な絆づくりへ放つ3本の矢とは?

 ファミリーマートはリテールメディア戦略を加速させる。

 同戦略は、ファミリーマート経済圏を構築すべく、店内のデジタルサイネージ・メディア「FamilyMartVision」とファミマのアプリ「ファミペイ」を組み合わせてコンビニのメディア化を図るもの。

 今後、節約志向が一層高まることも想定し、戦略を加速させることで顧客との絆を強固なものにしていく。

 7月16日、戦略発表会に臨んだ細見研介社長は、日銀によるマイナス金利解除に触れる。

 「17年ぶりにゼロ金利が解除されインフレはこれからが本番であろうと考える。我々が久しく経験してこなかった金利のある世界に突入していくことになり、この世界で成長を確かなものにしていくにはお客様と強力にコンビになることが必要不可欠」との見方を示す。

左からデータ・ワンの判治秀丈CRO、ファミリーマートの国立(こくりゅう)冬樹デジタル事業本部デジタル事業部長、細見研介社長、ゲート・ワンの速水大剛(だいごう)取締役COO、ファミリーマートの中野和浩金融事業本部長(兼ファミマデジタルワン社長)
左からデータ・ワンの判治秀丈CRO、ファミリーマートの国立(こくりゅう)冬樹デジタル事業本部デジタル事業部長、細見研介社長、ゲート・ワンの速水大剛(だいごう)取締役COO、ファミリーマートの中野和浩金融事業本部長(兼ファミマデジタルワン社長)

 今回、顧客との強固な絆づくりに向けて、アプリ・サイネージ・金融サービスの3分野に磨きをかけていく。

 この3分野のうち日本の小売業界で初の試みとなるのが「ファミペイ」のオープンプラットフォーム化。「デジタルパートナーシッププログラム」と称し、専用ページでパートナー企業であるメーカーとの共創で独自の販促プログラムを展開してブランドと商品を訴求していく。

 プログラムの参加状況をデータで可視化しリアルタイムで効果測定できるようにメーカーに開放する。

 「メーカー様、卸様、小売業も多くの顧客情報を持たれているが、それをどうマネタイズしていくかに各社非常に悩まれている。連携を進めることで、直接的あるは間接的にマネタイズでき、これに伴い顧客層がより大きくなりデータ量が飛躍的に上がる」と期待を寄せる。

 これにより顧客に対しては、より魅力的な商品やサービスを提供する。
 「あまり考えたくないが節約志向が強まるとすれば、『ファミペイ』を通じたお得なお買い物が効果を上げていくのではないかと考えている」と語る。

 顧客基盤強化の一環として、7月2日には初の会員プログラム「ファミマメンバーズプログラム」を開始。これは、レジで「ファミペイ」を提示すると月間の来店回数と購入金額に応じて翌月のランクが決定しランクに応じて特典が進呈されるもの。

出足は好調で「『ファミペイ』会員の獲得は以前の5倍を超える速さで拡大し、まさに“超速”」と胸を張る。

 「FamilyMartVision」は1万店への設置が完了し、1週間の最大リーチ数は約6400万人に上る。今後、大都市圏を中心に2000店舗で追加設置し最大リーチ数を約7700万人へ引き上げる。

 金融では「ファミペイ」のチャージ機能を強化。4つのチャージ手段の1つ銀行チャージの対象行数を10月以降、11行から100行以上へと拡大する。来春には「ファミペイ」のリアルカードを発行し、ガソリンスタンドや鉄道改札、海外の加盟店での利用も可能にする。

 なお「FamilyMartVision」を運営するのは、伊藤忠商事と2021年9月に設立した子会社のゲート・ワン。小売業者間の購買データを活用したデジタル広告配信事業と広告代理店業を営む関連会社のデータ・ワンと連携して事業展開している。
 金融を手掛けるのはファミマデジタルワン。

 前期(2月期)、ゲート・ワン、データ・ワン、ファミマデジタルワンの関連事業会社3社は営業黒字を達成。細見社長は「カスタマーリンクプラットフォームの構想は軌道の乗ったと自信を深めている」と力を込める。

関連記事

インタビュー特集

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。

ウーケ 花畑佳史社長 パックごはん、第4工場が来春本格稼働 国内外に新規拡大増やす

利便性と品質向上により、年々市場を拡大するパックごはん。最近はコメ価格高騰の影響や防災食への利用増加が相まって、需要はさらに伸びている。

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点

〈持続可能性追求するアイルランドの食料生産〉シーフード編①大西洋の自然が育む恵み 海洋資源の保護に重点