アサヒ飲料は6月26日に説明会を開き、暑熱下(37℃)での強炭酸水の飲用が血圧低下による立ちくらみを防ぐ可能性があることを明らかにした。
共同研究を行っている筑波大学体育系の藤井直人助教は、17人の男女を対象にした調査結果を引き「暑熱下での運動後、血圧が低下した状態で強炭酸水を飲むと、低下した血圧が元に戻り脳血流量の指標も上昇した。同じ条件で水を飲用した場合よりも、強炭酸水の方が反応が大きく有意差が見られた」と話す。
暑熱下で運動後に起立すると脳血流量指標が低下する。これも、強炭酸水の飲用で低下を緩和することができたと説明する。
暑熱環境に類似する、入浴後の血圧や脳血流量の低下による立ちくらみにも、同様の効果があることが示唆された。
藤井助教は「暑熱下で強炭酸水を飲むことで、爽快感や意欲が上昇したり、眠気が減少したりといった心理的効果も確認できた」と語る。
アサヒ飲料は、強炭酸水に関する研究を推進するとともに、地域・自治体や企業が持つ健康課題の解決を目指している。
暑熱環境下だけでなく日常生活での飲用メリットも明らかにしている。
「強炭酸水の飲用が、食生活や喫煙習慣の改善につながる可能性がある」と語るのは、アサヒ飲料の橋本秀紀研究開発本部研究開発戦略部研究企画グループプロデューサー。
同社は新潟県の467人の会社員を対象に、1日1本(500ml)の強炭酸水の飲用の継続による効果を調査。調査は、2023年10月中旬から12月下旬にかけての約1.5か月間で行われ、開始前後にアンケートを行った。
その結果、強炭酸水の継続飲用後に、食事量・夜食・間食・有糖炭酸飲料の飲用・飲酒のいずれかひとつでも「減った」「減った気がする」と回答した参加者は68%となり、食生活の改善に強炭酸水が寄与する可能性が示された。
橋本プロデューサーは「現在、喫煙率が高いことを問題視している札幌市とも協業し、仕事中に強炭酸水を飲むことで喫煙を抑制できるかを調査している」という。
別府市とも協業し、入浴後の強炭酸水の飲用が気分の変化をもたらすかを検証している。
今後も食生活の改善などへの効果を調べ、将来的には、健康経営を推進する企業などへの業務用ソリューションとしてのパッケージ化も検討しているという。
アサヒ飲料の安部寛取締役兼執行役員研究開発本部長は「喉が渇いた時以外でも、朝起きた時や食事の時など、色々な場面で炭酸水を飲んでいただきたい。日本では無糖の炭酸水の飲用経験がない方もまだ多いが、強炭酸水の健康価値や魅力を発信していくことで、手に取っていただくきっかけになってほしい」と期待を寄せる。