ウェルネオシュガーは、中期経営計画「WELLNEO VISION 2027」(2024年度~2027年度)を始動した。
「Food & Wellnessの事業拡大」「Sugarの基盤強化」により、2027年度の営業利益+持分法投資損益101億円(2024年度計画比+30億円)、当期利益70億円(同+20億円)、ROE9%(同+2%)を目指す。M&Aや研究開発、成長事業への戦略的投資を拡大。中計期間累計で約270億円~最大420億円を投入する方針を打ち出している。
5月30日の決算説明会で中計の全容が明らかになった。
成長事業として位置付けるFood & Wellnessは、オリゴ糖やサイクロデキストランなど腸内・口腔フローラ改善を訴求する機能性素材や、ツルヤ化成工業との共同開発による食品添加物など「フードサイエンス事業」を軸に事業拡大を図る。
山本貢司社長は「きびオリゴ(フラクトオリゴ糖)は10月、パッケージデザインを一新し広告施策を強化。独自商品『きび砂糖』と並ぶ業界No.1ブランドを目指す」と意気込みを語る。口腔フローラ素材のサイクロデキストランは「今後食品や菓子、口腔ケア、ペットフード市場に向けて拡販。増産に向け千葉工場での設備投資を実施し、2025年度中に本生産を開始する」としている。
また、M&A・業務提携を通じた新規フードサイエンス事業の展開も視野に入れる。中計期間中の投資規模として100~200億円と設定。特に機能性素材や食品添加物領域の成長に必要なリソースを有する企業を対象として投資する方針だ。M&A資金はフリーキャッシュ・フロー、借入の順で調達。WACCを上回るROIC達成を目指す。
砂糖事業の基盤強化では、本年10月のウェルネオシュガー、日新製糖、伊藤忠製糖の3社完全経営統合とあわせて、伊藤忠製糖の100%子会社・第一糖業の吸収合併も実行する。同社は九州に強固な地盤を有し、「きびオリゴ」など付加価値商品の製造拠点となっているが、今後一体となって統合シナジーの最大化を進める。
合併により、調達・生産・物流・営業の各分野において統合シナジーの創出を狙う。約20億円のDX投資を実行し、基幹システムの統合・変革を進める。データ利活用の基盤を強化し、データ分析に基づく経営管理、サプライチェーンの最適化につなげる考えだ。中計最終年度には、営業利益ベースで約15億円の統合シナジーを目指す。
令和5砂糖年度の国内砂糖消費は176万tの見通し。コロナ以前からの漸減傾向は続いており、山本社長は「業界の合従連衡・業界再編の動きは今後も続く見通し。当社としてはグループ生産基盤の強化を推進し環境変化に備える」と強調した。