明治HDは、2024年度~26年度までの中期経営計画の戦略の一つに「成長事業への経営資源の投入」を掲げる。
「海外食品事業」「国内BtoB」「医薬品」を成長ドライバーとし、競争優位性のある独自商品・素材を拡販するとともに、国内では新たな乳素材の開発も予定している。こうした取り組みのもと、26年度は過去最高の連結営業利益1千165億円(23年度比38.2%増)、海外売上高2千525億円(同1.8倍)を目指す。
川村和夫社長は、5月10日開催した決算説明会で「ここ数年コストアップや競争激化、コロナ対応など苦戦したが、それも今や事業環境の前提条件となっている。2026中計では市場・事業・行動を変えて成長力を取り戻していく」と意欲を示す。
大きなグループ方針として、これまで社会課題に応えながら市場を創造してきた基本に立ち返り、「サステナビリティと事業の融合」を推進していく。成長を担う新事業は「付加価値を高めることで安定したキャッシュを生み出す事業」と位置づける。
海外食品事業ではキューブタイプ粉ミルクなどの技術・知財面で競争優位性のある商品、チョコスナックなど味や食感の設計や製造技術など差別化商品で積極的に事業拡大を図る。現地ニーズに合った商品開発、グローバル生産・供給体制の確立、マーケティング強化、M&Aや他社とのアライアンスにも取り組む。
国内食品事業は好調のBtoBを一層強化する。
「独自素材や付加価値素材がプロユーザー層の支持を獲得している。食に携わる多くの国内企業がコストアップにさらされているなか、コストダウンや商品の付加価値を模索する動きは、こうした素材を取り扱う当社にとって追い風」との認識を示す。
具体的な取り組みとして、独自の「含水混錬製法」をベースにした常温で長期保存できる生チョコ「瑞練〈生ショコラ〉」の拡販、アイスやチーズなど主力ブランドの強化に加え、新工場設立とともに新たな乳素材の開発も視野に入れる。
新たなマーケティングモデルの構築も掲げる。
ここでは「デジタル技術ソリューション事業パーソナライズ」をキーワードに掲げる。BtoBではアプリケーションセンターを活用した新規提案力の強化、BtoCでは個人の健康状態や価値観に寄り添う情報提供・商品推奨にも積極投資し、既存商品の価値の最大化を図る。
24年7月からH.U.グループ社と連携し、免疫検査サービス事業を開始予定だ。同社は検査・関連サービス事業、臨床検査薬事業、ヘルスケア関連サービス事業を軸とした、個人に寄り添うヘルスケア提供に強みをもつ。免疫検査サービス事業では、検査結果に基づく生活習慣アドバイスや個人に合わせた情報提供・商品推奨などを予定している。