韓国発の「ブルダック炒め麺」が快進撃を続けている。
“激辛”を象徴するブランドとして海外市場を積極的に開拓し、日本法人の三養ジャパンも毎年25%以上の成長が続く。キャッチコピーは「辛すぎ!でも旨すぎ!」。人気No.1の「カルボナーラブルダック炒め麺」を主力に、豊富なラインアップから好みにあわせて選べる。近年は同じブランドでソース、トッポギ、スナックなどの新商品も次々に発売。「ブルダック」の世界観を拡大中だ。同社は「激辛フードを代表するグローバルなトップブランドを目指す」と意気込む。
火付け役は英国ユーチューバー
「ブルダック」ブランドの誕生は2012年。当初から世界市場への展開を標榜しハイスピードの成長を遂げてきた。いまや韓国・三養食品はブルダック製品を約100か国に輸出。売上は単一ブランドで約6千億円に達する。火付け役はイギリス人のユーチューバーだ。14年に“ファイヤーヌードル”として激辛炒め麺の「ブルダックポックンミョン」にチャレンジする動画が投稿され、各国でバズったという。
三養ジャパンは19年に設立。「ブルダック炒め麺」シリーズとして、「オリジナル」「カルボナーラ」「チーズ」の日本版パッケージを翌20年に発売した。
その後の売上は驚異的な伸びをみせる。キャラクターの「ホチ」が醸し出す親しみやすい雰囲気とは裏腹に、ほかの商品では味わえない刺激的な辛さのソースとモチモチ食感の麺にハマるユーザーが続出した。またコロナ禍が長引いた影響もあり、韓国ラーメンで旅行気分を味わいたいとのニーズにも合致した。ちなみに、地元韓国でホチは「辛さのテロリスト」の異名を持つ。
日本で「ブルダック炒め麺」の売れ筋1位は「カルボナーラ」。激辛をベースとしながらも、クリーミーなホワイトソースとのコンビネーションが絶妙だ。2番人気は黒いパッケージの「オリジナル」。強烈な辛さが一度食べたらやみつきになる。
23年2月、日本人の嗜好にあわせた「焼きそばブルダック炒め麺」を各国に先駆けて発売した。独特の辛さとお祭りの屋台を想起させるソース焼そば味を組み合わせた。当初、日本でしか買えない「ブルダック」として話題沸騰。韓国で同年7月にデビューしたが、それまで日本旅行のお土産としても人気を呼び、「図らずもインバウンド効果を生んだ」(同社)。
辛い料理と言えば「ブルダック」に
「ブルダック」は炒め麺を大黒柱に、ソース、トッポギ、タンミョン、スナックとラインアップを拡大中だ。そして、24年6月上旬に新商品でポテトチップスを発売予定。「ブルダック炒め麺」ならではの旨辛を前面に押しつつ、複数のフレーバーを展開していく計画だ。「商品カテゴリーを広げ、他社とのコラボレーションなども実施し、生活者とのタッチポイントを増やしていく。辛い料理を食べたくなったら『ブルダック』をイメージしてもらえるようにしたい」(同社)。
一方、2月に韓国料理とパスタを融合させた海外専用の「tangle(テングル)」ブランドを日本で発売開始した。「プルコギクリームパスタ」と「キムチロゼパスタ」の2フレーバー。もっちり生麺食感のノンフライ麺に、韓国ならではの味付けに仕上げたソースがよく絡む。
同社は「激辛の『ブルダック』ではリーチできないユーザー層の獲得が狙い。北米で先行発売していたが、日本の市場でも非常に良い手応えを得ている。グローバルで大きなブランドに育てていく」と展望する。