サントリー食品インターナショナルの「クラフトボス」ブランドは今年、「甘くないイタリアーノ」の育成を一丁目一番地とする。
同商品は、ペットボトル(PET)コーヒー市場でブラックとラテ以外の第3のカテゴリーがなかなか定着していないことを背景に、コーヒー・ミルクともに満足感が得られつつも甘くないカフェラテを目指し昨年4月に発売開始された。
第三の定番商品の兆しが見え始めたことから、発売2年目に突入する今年、リニューアルに踏み切り勢いを加速させる。
3月28日、取材に応じたサントリー食品インターナショナルの大塚匠SBFジャパンブランドマーケティング本部部長は「『甘くないイタリアーノ』を『ブラック』『ラテ』に次ぐ第三の柱に据えるのが今年の目標」と語る。
同社の調べによると、甘くないラテの市場は約4500万ケース規模と推定。“大票田”でありながらも「クラフトボス」での開拓の進捗は道半ばという。
「ポテンシャルが高い一方で、通常のラテよりも単純に砂糖量を減らしてしまうと味わいの総量が減るという構造になり、満足感との両立は非常にハードルが高い」との見方を示す。
今回、このハードルを乗り越えるべく従来からのハイブリッドニューミルク製法に磨きをかける。
同製法は、乳原料に植物性素材を加えてチルドカップなどと遜色ない乳飲料並みのミルク感をPETで実現したものとなる。
飲用乳の公正競争規約によると、ラテに欠かせない乳固形分が3%以上を占めるとPETでは対応できない乳飲料規格として扱われる
今回、一部原料を見直すなどしてPETでありながら乳固形分3%以上に相当する味わいを実現した。現行品は乳飲料規格一歩手前の乳固形分に相当する味わいだという。
深煎りのイタリアンローストをブレンドしたことでコーヒーの余韻も強化。
「ブラックコーヒーにミルクを足した無糖のラテというよりも、ミルクのリッチさにこだわった商品。甘くないのにコーヒーもミルクもリッチに感じられるRTD(PETコーヒー)の領域を超えた味わいを実現している。“カウンターコーヒーのラテが好きだが、コスパのいいものが欲しい”という方に向けてアピールしていく」と意欲をのぞかせる。
販売施策としては、自販機への導入拡大を予定する。既に一部の自販機でテスト販売を実施したところ「クラフトボス ラテ」とのカニバリをほとんど起こすことなく推移している。
「コンビニチャネルなどでもほとんどカニバリを起こしておらず、甘いラテと甘くないラテには一線を引いていい、という結論が出せたと思っており、自販機でも徐々に拡大していきたい」と述べる。
コミュニケーションは「甘くないイタリアーノ」専用の新TVCMの投下などを予定している。
「甘くないイタリアーノ」は、昨年4月の発売以来、無糖ユーザーやカフェユーザーから多く新規顧客を獲得している。
「『甘くないイタリアーノ』は、無糖のコーヒーやお茶からの流入が見られる。『ラテ』はショップのラテからの流入が多いが、『甘くないイタリアーノ』は流入率がその1.6倍とカフェユーザーからの流入が多い」と分析する。