「UCC BLACK 無糖」30周年 パーソナルサイズ・ホームサイズのブラックコーヒーに注力 紙パック市場には更なる成長見込む

 UCC上島珈琲は、パーソナルサイズ・ホームサイズのブラックコーヒーに注力する。

 油谷仁敬マーケティング本部飲料マーケティング部部長は「コーヒー屋としてコーヒーを突き詰めていったときに、美味しいブラックコーヒーを届けることをきっちりとやりたいと考えた」と意気込みを語る。

 ブラック強化の考えから、パーソナルでは今年で30周年を迎える「UCC BLACK 無糖」(BLACK無糖)ブランドを前面に押し出していく。

 旗艦アイテムであるSOT缶(ショート缶)の「BLACK無糖」に磨きをかけたほか、ボトル缶の「BLACK 無糖 RICH」(275g・375g)のパッケージを「BLACK 無糖」のブランドロゴをより目立つように改め中味も刷新して3月4日から発売している。

 新たにプレミアムタイプも展開する。昨年まで「UCC ORIGIN BLACK」シリーズで展開していた高付加価値タイプも「BLACK無糖」の中に組み入れて、4月1日、ボトル缶「ブルーマウンテン&キリマンジァロ」(275g)を期間限定で新発売した。

 SOT缶は中味・パッケージを一新。

 中味は、3温度帯での抽出時の中温から高温のパートを一部見直したことで、キレが増した味わいに進化。
 パッケージは、ブランドロゴの視認性を向上させ、UCCの抽出に対する誇り・姿勢を“PRIDE IN BREW”と表現している。ブランドのメインカラーである黒をこれまで以上に引き立たせるために、要素を整理し色数も厳選した。

 「BLACK 無糖 RICH」のパッケージはブランドロゴをより目立つようにした。

 「これまで『RICH』の文字を目立たせていたが、ブランドロゴを大きく見せるパッケージに変更した。これにより『BLACK 無糖』のリッチな味わいであることがより伝わるようにした」と説明する。

「ブルーマウンテン&キリマンジァロ」 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「ブルーマウンテン&キリマンジァロ」

 中味も焙煎の工程を一部見直し、「しっかりと飲みごたえのある上質で苦い味わい」のコンセプトにより近づけた。
 「苦味の立ち上がりは緩やかで、余韻が続くようにしている。最終目標であるドリップコーヒー品質に近づけるため、渋みや雑味を感じないような後味に仕上げている」と胸を張る。

 プレミアムタイプの「ブルーマウンテン&キリマンジァロ」はブルーマウンテン、キリマンジァロのコーヒー豆を別々で焙煎したのちにブレンドする単品焙煎を行い、2温度帯で抽出している。

 前身の「ORIGIN BLACK」を改めた理由については「『BLACK 無糖』ブランドで展開することで、ブランド内での買い回りが期待できる。尚且つ、マーケティング活動を通じて付加価値を伝達できる機会を増やすことができる」と説明する。

 「BLACK 無糖」のコミュニケーション活動は2つの山場を設ける。2023年に日本記念日協会によって「BLACK無糖の日」に認定された6月10日を最初の山場とし、「黒の日」である9月6日を二つ目の山場とする。

UCC上島珈琲の油谷仁敬マーケティング本部飲料マーケティング部部長 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
UCC上島珈琲の油谷仁敬マーケティング本部飲料マーケティング部部長

 「この2つの山場を中心に、30周年を記念したコミュニケーションを検討している。ロイヤルユーザーである40代から50代の男性をメインに、改めて『BLACK 無糖』の良さに気付いていただけるようにする」と述べる。

 同じくパーソナルサイズでは、「UCC COLD BREW BLACK」「同 LATTE」も4月にリニューアル発売。水出しコーヒーでありながらもコーヒーのコクもしっかりと楽しめる味わいにブラッシュアップしており、ゴールドとシルバーを活用したコクを感じられるパッケージデザインを採用している。

 ホームサイズでは、止渇性ニーズに応えるボトルコーヒーの「UCC 職人の珈琲」シリーズと、嗜好性ニーズに応える紙パック製品に注力していく。両者とも拡大基調にある。

 紙パック製品は主に「UCC ゴールドスペシャル」「UCC GOLD SPECIAL PREMIUM」「上島珈琲店」の3ブランドで展開している。

「UCC ゴールドスペシャル」の紙パック製品 - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
「UCC ゴールドスペシャル」の紙パック製品

 「ボリュームはそれぞれ違うが、どこも数字が良い。特に『UCC ゴールドスペシャル』は配荷が拡大し回転も好調で、伸長している」という。

 紙パックコーヒー市場も拡大し、その背景にあるのは、自宅で手軽によりおいしいコーヒーを飲みたいという需要の高まりにある。

 「コーヒーを飲む習慣がついたり、飲む経験が長くなったりすると、より味わい深いものやコクがあるものを求めるようになる傾向がある。自宅でゆったりとした時間がなかなか取れない状況でも美味しいコーヒーを飲みたいという方に対し、我々が提供できるものが非常にマッチしている」と分析する。

 特に伸びが顕著な「UCC ゴールドスペシャル アイスコーヒー 無糖」「同 甘さひかえめ」は勢いを加速させるべく、3月4日にリニューアル発売した。

 中味は、ミルクで割ってもおいしいという味覚設計は変更せず、レギュラーコーヒーに近い味わいに刷新。
 「レギュラーコーヒーのような、よりクリーンな味わいにした。加糖タイプについては、甘さがやや強いというネガティブな反応も一部見られたため、甘みを少し抑えた」。

 レギュラーコーヒーの「UCC ゴールドスペシャル」のユーザーからの流入も狙い、ブランドを象徴する金色を差し色としたデザインに変更。加えて、味わいをより分かりやすく訴求すべく「広がる香りと豊かなコク」のアイコンを新たにあしらった。

 主戦場はドライ売場。ボトルコーヒー棚に向けて提案することで、より味わいのいいコーヒーを探しているボトルコーヒーユーザーの取り込みも図っていく。

 3ブランドのうち最上位のプレミアムラインとなる「上島珈琲店」ブランドでは「アイスコーヒー 無糖」「同 微糖」を取り揃え、チルド・常温の両方の売場に提案している。

 2ブランドの中間に位置する「UCC GOLD SPECIAL PREMIUM」の紙パック入りコーヒーはチルドでの販売となる。「昨秋に販売開始以降、じわじわと配荷が広がっている」という。