農林水産省のまとめによれば、23年の農林水産物・食品の輸出額は前年比2.9%増の1兆4千547億円。過去最高を更新した。
アフターコロナが本格化した昨年、人々が外出して飲食する機会が世界的に増加。円安も追い風に、上期の輸出額は1割近い伸びを示した。ただ処理水放出にともなう中国の輸入規制の影響から、2ケタ増となった前年までの2年間に比べて伸び幅は縮んだ。
食品・飲料のうち、増減幅の大きかった主な品目は別表の通り。ビールはヒット商品の効果と円安の恩恵から、韓国での需要が大幅に回復。緑茶は健康志向の高まりなどから、欧米を中心に抹茶など粉末茶の需要が増加。ソース混合調味料は、米国向けの在庫調整が落ち着き、日本食レストラン増加にともなう外食需要が回復した。
一方、ホタテ貝は中国による日本産水産物の禁輸措置の影響や、在庫状況を踏まえたバイヤーの買い控えにより、下半期に大幅減少。サバは漁獲量の減少から東南アジア向けの輸出が縮小した。また日本酒は、中国での景気後退や禁輸の影響を受けた日本食レストランの不調、米国での上半期のインフレなどを受けて減少した。
輸出額はこの10年間で約2.6倍に拡大した。政府では、25年までに2兆円、30年までに5兆円とする目標を掲げている。達成には平均して毎年2割近い拡大が必要となる計算だ。