日本冷凍食品協会はこのほど年末記者会見を開き、大櫛顕也会長(ニチレイ社長)は「2023年の冷凍食品市場は消費者の節約志向が高まったことから生産数量で前年を下回る見通し。ただし、業界各社は積極的に新商品やプロモーションを投入している。依然として大手メディアに取り上げられる機会も多く世間の関心は高い。24年は実質賃金の上昇に伴って新たな価格体系が夏ごろまでに浸透し、需要も回復していくのではないか。長期的には女性の社会進出など環境変化を背景に、おいしさ・簡便性・タイムパフォーマンスを強みに市場を拡大していける」と語った。
冷凍食品の需要動向について、「23年の国内生産量は154~156万t(22年約160万t)と前年割れを見込む。金額(工場出荷額)は価格改定の効果で8千億円(22年7千639億円)を超えてくるだろう」と述べ、「各社が複数回にわたる価格改定を実施した環境下、家庭用は実質賃金の減少や鶏卵不足が影響して販売数量が苦戦した。業務用はコロナ禍の規制が撤廃され外食需要とインバウンド消費が活性化した。深刻な人手不足の中、中食向けや病院、高齢者施設などでの利用も増えている。各社は使い勝手の良い小容量品やアセンブル商品を充実させており今後ますます取り扱いは広がっていくだろう」と説明した。
また冷凍食品の新たな需要として外食店のテイクアウト、自動販売機、ECによるお取り寄せなどが増加傾向との認識を示し、「いずれも高級品が広く展開され、従来の大量生産型とは異なる新しいマーケットを形成しつつある」とコメント。ただし「これら新しい商品は品質や衛生面で不安が残るのも事実。協会としては実態把握に努めるとともに、会員企業の製品と差別化していくため、かねてより運営している認定制度の啓発や認定マークの認知向上を図っていく」とした。
一方、コロナ禍に伴う行動規制が解除されたことで、今年は10月18日「冷凍食品の日」をはじめとしたイベントやプロモーション活動を通常通り実施した。並行して、YouTube、X(旧ツイッター)、インスタグラム、TikTokなどを使った情報発信を強化。新たに制作したスマートフォンアプリ「冷凍食品1018.」のダウンロード数は1千800件となった。これらメディアの実績は評価が難しい側面があるものの、「SNSを活用すれば若年層にアプローチできる。テレビCMや新聞などのマスメディアは購入者への訴求に有効だが、冷凍食品の喫食者である学生や子どもにもおいしさや安全性を普及していければ」と語った。