過熱する日本食ブームと水産物の輸入停止

中国の日本産水産物の輸入停止措置から2か月近くが経ち、ロシアも規制参加の意向を表明。科学的根拠を無視した政治的な色が濃くなっている。日本の食品輸出額は1.4兆円にまで拡大。政府は30年の5兆円を目標に掲げる。輸出先トップは中国で、2位が香港。禁輸で受ける打撃は小さくない。

▼外食需要回復の鈍さなどから、一時は多くの食材が都市部の冷凍倉庫を占拠した。現在は行き場を失った水産物が地方の倉庫の在庫率に影響を与えている。中国で人気のホタテは22年の輸出額が40%増の910億円。成長を続けてきただけに今回の措置には水を差された格好だ。

▼海外の日本食ブームが止まらない。中国以外のアジアでも過熱している。タイ・バンコクでは高級寿司店が急増。日本人の職人が腕を振るう店の客単価は2~3万円と現地の大卒初任給の半額。決められたメニューを提供する「オマカセ」が一般的だ。

▼日本食の流行とともに国内製造の食器が世界で売れている。高級皿は価格競争で疲弊した日本では売れない。海外に活路を求める企業の動きが続きそうだ。