日本冷凍食品協会の大櫛顕也会長(ニチレイ社長)は、このほど冷凍食品新聞協会(本紙など9社加盟)との懇談会で、「価格改定の影響」「コスト上昇」など業界の諸課題について語った。
価格改定の影響について「協会調べによる冷凍食品検査数量は1~7月累計で91.7%と減少。うち市販用が89.6%と下げ幅が大きい。過去の値上げ局面に比べて回復が遅れている。数量の減少は工場の稼働率低下とコストアップに直結するため、市場で販売価格の下落が懸念される」としながらも、「直近でも多くのマスメディアに取り上げられるなど、依然として冷凍食品に対する世間の関心は高い。食品全般の値上げが続く中で、いずれ需要は戻ってくるのではないか。社会環境の変化を背景に、高齢者や単身者へのアプローチを強化していきたい」との見通しを示した。
一方、コスト上昇は最大の課題と指摘。「コロナ禍以前から気候変動による干ばつ・不作などで原材料価格が高騰し、ロシアのウクライナ侵攻後はエネルギー価格の上昇も顕著になっている。円安はピーク時に比べると落ち着いてきたものの、依然として145円程度(9月上旬時点)で推移。2024年問題に伴う物流費の上昇も想定され、コストアップ要因が目白押しの状況」。
「値上げ効果で今第1四半期(4~6月)の各社業績は増収増益となってきた。ただし前年同期が厳しかった裏返しでもある。市場変化とあわせ、先行きを注視していく必要がある」と現況を話した。
広報事業では10月18日「冷凍食品の日」にあわせたPRイベントを実施。著名人のゲストを招いた試食会で、前年を上回る約200人の参加を見込む。10月2~6日の期間、農林水産省「消費者の部屋」で展示を行う。「べんりとおいしいのその先へ 冷凍食品」をテーマに、パネルや製品パッケージを陳列するほか、4年ぶりに会場からラジオ生中継と試食の提供を実施する。