三菱食品 京谷裕社長 需要縮小時代を乗り越える新たな顧客体験と価値創造

三菱食品は8月8日、都内ホテルで「ビジネスパートナーミーティング2023」を開催した(一部既報)。挨拶した京谷裕社長は、「人口減少と高齢化で国内市場の成熟化は避けられないが、決して悲観することはない。変化する生活者ニーズを捉えた価値創造と顧客体験の創出によって、ビジネスパートナーと成長サイクル実現を目指す」と力強く語った。京谷社長の発言要旨をまとめた(文責:編集部)。

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生活者の価値観やライフスタイルは大きく変化し、単純にコロナ前に戻ることはない。ウイズコロナ・アフターコロナというよりも、様々な変化が加速的に進行する「ウイズサムシング」という時代の入口に立っている。

国内市場は人口減少・高齢化で量的縮小が加速し、ますます物が売れにくい環境になっていくが、私はネガティブに捉えていない。

健康寿命の延伸による高齢化や晩婚化、そして価値観の多様化は成熟社会の自然な変化であり、ポジティブに対応していくことで、未来は開けていくのではないだろうか。

その一つとして注目したいのが、男性の子育てへの関わり方だ。政府は2030年には男性の育休取得率を85%に高めていく目標を示しており、当社でも早期に100%を目指していく。食のビジネスは人口の増減が量的成長に直結するだけに、子育て支援・少子化対策の輪を広げていきたい。

最近、ユーチューブで日本食を楽しむ外国人の動画にはまっている。日本の食文化は世界から大変注目されている。日本で暮らしていると気づかないが、外国人の方が日本を楽しみ、日本食のおいしさに感動している姿を見るたびに、自然と勇気が湧いてくる。量から質へ、守りから攻めに転じるヒントがそこには溢れている。

成熟化が進み、需要が縮小する市場において、物理価値の差別化は極めて難しく、一企業のコスト削減も限界に達している。

量的縮小と多様化が加速する市場において、新たな需要を継続的に創出し、成長し続けるためにはモノに新たな価値を加える情報価値(情緒的価値)とブランド価値の創造が欠かせない。それらをパートナー企業の皆さんとともに創出し最大化していくことが、私どもが掲げる次世代食品流通業の重要な役割と考えている。

フルカテゴリー・フルエリア・フルチャネルの当社データをフル活用し、新たな顧客体験・情報価値を創出することで、物が売れにくい市場においても、継続的な成長サイクルの実現につなげていく。こうした成功体験を積み重ねていくことで、売上・物量の拡大のみならず、物流やオペレーションの効率化、生産性向上につながり、それが新たな顧客体験と価値の創出につながる。私ども三菱食品は常に自己変革を続け、ビジネスパートナーの皆さまとともに、持続可能な成長の実現にチャレンジしていく。