4.1 C
Tokyo
4.9 C
Osaka
2025 / 12 / 13 土曜日
ログイン
English
飲料系酒類八海醸造 創業101年、永遠に終わらない会社へ 海外清酒・あまさけ新展開

八海醸造 創業101年、永遠に終わらない会社へ 海外清酒・あまさけ新展開

創業101年目を迎えた八海醸造(本社・新潟県南魚沼市)は、次の100年に向けて主力の清酒「八海山」や麹甘酒「あまさけ」のさらなる発展を図りながら、海外事業の成長も加速させる。都内で記者発表会を開き、南雲二郎社長は「われわれはより良い酒を、より多くの人に届けることに注力してきた。これからは清酒が世界のスタンダードなアルコール飲料として親しまれるように取り組んでいく。米、麹、発酵に関わる事業を多方面に展開し、『永遠に終わらない会社』を目指す」と語った。

このほど新たなコーポレートロゴ「Hakkaisan」を制定。アートディレクターの原研哉氏によるもので、未来を見据えて世界を目指す決意の象徴にしたいとの想いを込めた。今後は、清酒・焼酎・ビール・ウイスキー・ジンなどすべての商品と事業に同じロゴを使用し、ブランド価値の向上につなげていく。

「八海山  百」(八海醸造)
「八海山 百」(八海醸造)

100周年記念酒「八海山 百」から新ロゴを展開。9月末に販売開始する限定の大吟醸。同社の理想的な品質を追求している「浩和蔵」の蔵人が技術を最大限に発揮して醸造した。厳選した原料米を精米歩合25%まで磨き、ほのかな吟醸香と奥行きのある味わいに仕上げ、さらに氷点下3度で6年間貯蔵し深い熟成感も楽しめる。750㎖、12万円(税別)。

海外における清酒市場の開拓も本格化させる。21年、ハッカイサンブルワリーUSAを設立し、ニューヨークで酒造りを行っていたブルックリンクラと業務資本提携の契約を締結。そして23年秋、両者は新設・拡張した酒蔵にて共同で酒造りを始める。本社蔵を構える魚沼から蔵人数名を派遣予定。南雲社長は「清酒を輸出だけでなく海外で現地生産することは10年以上前から検討してきた。当初は自社メーンの体制を考えたが、世界へ広げたいとの志をともにできる現地パートナーと組む方が良策と判断した」と経緯を説明。また、米国法人代表を兼務する南雲真仁副社長は「100年間培ってきた技術や経験で品質向上をサポートしていきたい」と述べ、ブルックリンクラのブライアン・ボーレン代表は「ゴールは日本酒を世界飲料にすること」と力強く語った。

「麹だけでつくったあまさけ」(八海醸造)
「麹だけでつくったあまさけ」(八海醸造)

「麹だけでつくったあまさけ」が24年3月、製法や味わいはそのままに、麹菌で初の機能性表示食品に進化する。表示する機能性は「腸内環境を整え便通を改善する」「肌のうるおいを守るのを助ける」の2点。製品に含まれる「麹菌Aspergillus oryzae HJ1株」と「麹由来グルコシルセラミド」の2成分で確認された効果に対して届け出が受け付けられた。倉橋敦取締役製造部長は「当社『あまさけ』の販売数量は18年度の385万本(825g換算)をピークに若干下がっているが堅調に推移」とし、「甘酒の研究は他の発酵食品に比べて格段に遅れている。当社は論文での発表(エビデンス)が必要と考え、16年から科学的研究に注力。今後も麹甘酒の成分・安全性・機能性を明らかにしていく」。製品の容量・価格(税別)は825gが800円、410gが440円、118gが190円。なお118gは機能性表示を全面にうたった専用ラベルも展開。ドラッグストアなど新規売場の獲得を目指す。

関連記事

インタビュー特集

日本酒「獺祭」輸出4割増 「海外トップブランドが強み」桜井社長

清酒「獺祭」の輸出が世界各国で伸びている。前9月期は総売上高213億円(前年比9%増)のうち、輸出実績(未納税含まず)は79億円、実に4割増だった。

日清オイリオ久野社長 価格改定の早期完遂目指す 家庭用、中長期視点で強化

日清オイリオグループの久野貴久社長は、喫緊の課題として価格改定の早期完遂と、ホームユース(家庭用油)の販売強化に取り組む方針を示した。

J-オイルミルズ春山社長 次元の異なるコスト環境 油脂、価格引き上げ急ぐ

J-オイルミルズの春山裕一郎社長執行役員CEOは、油脂のコスト環境が悪化する中で、「価格改定の浸透を急ぐ」方針をあらためて強調した。

新潟・葵酒造、2年目は自社栽培米で仕込む 「Domaine Aoi」始動 「日本酒になじみがない方にも」青木代表

「飲むことで幸せを感じられるような日本酒を提供していきたい」と話すのは葵酒造(新潟県長岡市)の青木里沙代表取締役。昨年冬、JR長岡駅からほど近い場所に位置する創業160年超の旧高橋酒造から事業を引き継ぎいだ。

カゴメ次期社長 奥谷晴信氏 国内、新たな成長軸を模索 国際、M&Aも視野に成長を

カゴメの次期社長(2026年1月1日付)に内定した奥谷晴信現取締役常務執行役員(一部既報)。アジア事業カンパニーやグローバルコンシューマー事業部、国際事業本部などキャリアの多くを国際事業に携わってきたが、21年以降は国内事業でも手腕を発揮。