業務用冷凍食品が主力のヤヨイサンフーズは、2020年から「ほほえみ厨房」シリーズとして焼き調理専用の揚げ物メニュー(メンチカツ、コロッケなど)を展開、高齢者の小規模施設を中心に好評だ。独自技術で開発し、ノンフライ製品でありながら揚げたような食感・風味・見た目を再現している。営業統轄部の鈴木智子部長代行兼商品企画課長は「人手不足が深刻で調理設備が少ない現場でも揚げ物メニューとして提供できる」とアピールする。
本物に近い食感・風味など再現
同社は「価値の創造」と「感動と信頼の創出」を開発コンセプトに掲げ、安全・安心でおいしさにこだわった商品の提供を目指している。
業務用向けに「ハンバーグ」「メンチカツ」「クリームコロッケ」「デザート」など多様な調理冷凍食品をラインアップする一方、やわらか食の「ソフリ」やプラントベースフードの「イートベジ」などニーズの変化にも積極的に対応してきた。
「ほほえみ厨房」シリーズは、主に小規模施設の利用を想定して開発。ネーミングには「作る人も食べる人も笑顔に」との想いを込めた。20年に第1弾で「同 焼いてメンチカツ」と「同 焼いてチキンカツ」、22年に「同 焼いて牛肉入りコロッケ」と「同 焼いてカニ入りクリーミィコロッケ」を発売した。
最大のポイントは、フライヤーを使わなくてもオーブンなどの焼き調理で人気の揚げ物メニューを提供できることだ。ノンフライでありながら、専用のパン粉やオリジナルのバッター液を組み合わせるなどし、衣のサクサクした食感や本物に近い風味・見た目を再現した。
発売当初から高齢者向けの施設を中心に採用が進む。直近では揚げ物に使用する油の価格高騰を背景に、事業所や幼児向けの給食でも引き合いが増えた。「メンチカツやコロッケなどの需要は根強いが、調理の準備から後片付けまで手間がかかる。その負担軽減にお役立ちできる」(鈴木氏)。
23年春、「同 焼いてメンチカツ」と「同 焼いてチキンカツ」をリニューアル。UDF(ユニバーサルデザインフード)区分の「容易にかめる」を取得し、施設などで従来以上に安心して提供できるようになった。また当初から鉄分・カルシウムを強化している。
「ソフリ」自然解凍も可能に
やわらか食の「ソフリ」ブランドで展開する「お魚」「お肉」などは今春から順次、蒸し調理に加え自然解凍にも対応可能となった。鈴木氏は「高齢者施設等で冷凍食品を使われる際、提供方法の選択肢が広がれば」と話す。解凍時間は室温で約1時間、冷蔵で約3時間。
「ソフリ」は04年に発売。噛む力が弱くなった方など通常の食事が食べられない方にも食事を楽しんで欲しいとの想いから、“常食”と変わらない味・香り・見た目・彩りの“やわらか食”を目指している。UDF区分は「舌でつぶせる」を取得(とけないアイス風デザートは対象外)。病院や介護老人保健施設(老健)などで幅広く利用されている。
メニューは「お魚」「お肉」「お野菜」「フライ風・天ぷら風ムース」「デザート」など。昨年は新商品で「いなり寿司風ムース」「おはぎ風ムース」「鶏のからあげ風ムース」を発売した。