食物繊維入り飲料が続々 不足しがちな栄養素として脚光 「サントリー天然水」や「ウィルキンソン」も触手

 今年に入り食物繊維入りを訴求した新商品が続々と発売されている。

 不足しがちな栄養素として食物繊維に注目が集まっていることが背景。
 「サントリー天然水」(サントリー食品インターナショナル)や「ウィルキンソン」(アサヒ飲料)などの一大ブランドも触手をのばす。

 サントリー食品インターナショナルは、20代を中心とした若者に向けたフレーバーウォーターの新提案として「ファイバー8000」を4月18日に新発売した。

 開発にあたって着目したのが若者の摂取カロリーと栄養素が足りていないという実態。

 サントリーの平岡雅文SBFジャパンブランド開発事業部課長は「ある調査によると、特に20代男性はタイムパフォーマンスを意識されてか、ご飯を食べるのを面倒に感じる傾向にあり、1日のトータル摂取カロリーが1700~1800kcalの方が3割程度存在した。カロリー不足に伴い栄養素も足りていないことに着目して、まずは食物繊維が摂れる商品を考えた」と振り返る。

 栄養素として食物繊維に着目した理由については「例えばビタミンCの摂取は様々な代替手段があるが、食物繊維はビタミンほど選択肢が多くなく、また体感が得られやすい」と述べる。

 サントリーは「GREEN DA・KA・RA」からもアプローチ。4月25日、主にコンビニ向けに「GREEN DA・KA・RA1/2日分 食物繊維のむぎ茶」を新発売した。

 同商品は、コンビニをよく利用する30、40代の働き盛りの生活者をターゲットに、いつもの麦茶に食物繊維も摂れることを付加したものとなる。

 サントリーの井島隆信SBFジャパンブランド開発事業部課長は付加する栄養素として食物繊維を選んだ理由については「世の中で今注目されている栄養成分の1つが食物繊維であることがまず挙げられる。飲料に限らず、お弁当や惣菜など幅広いカテゴリーで食物繊維入りを訴求する商品が増えている。もう1つの理由は麦茶と親和性がある点」と説明する。

 アサヒ飲料は4月18日に「ウィルキンソン タンサン ファイバー」を新発売。

 アサヒの香山宏マーケティング一部無糖炭酸・果汁グループリーダーは、同商品について「健康・ダイエット志向が今後増えてくることが調査から判明し、現在不足しがちな栄養素を考えた時に、今後も拡大が見込めるものとして食物繊維に着目した」と語る。

 アサヒは6月20日からECチャネルで「おいしい水 天然水 ファイバー」も発売している。

 食物繊維への注目や各社の新商品・マーケティング活動の余波を受けてか、食物繊維入り飲料の先駆けとなる大塚製薬の「ファイブミニ」も脚光を浴びる。

 昨年は前年を上回る販売実績を記録した。

 この要因について、大塚製薬の勝山裕美ニュートラシューティカルズ事業部製品部ファイブミニプロダクトマーケティングマネージャーは「普段の食事を見直すようになるなど健康への関心と意識が非常に高くなったことが追い風になった」との見方を示す。

 加えて微炭酸の設計が飲用シーンの拡大にもつながっている。
 「『ファイブミニ』は健康意識が高い層にも買われているが、リフレッシュ要素で買われている方も多いとみている。中には焼肉など脂っこいものを食べたあとに“口の中をさっぱりさせたい”といった理由で飲んでいる方もいる」という。

 女性から男性、子どもなど飲用の幅も広がっている。
 「30、40代にもトライアルしていただき、一部では親子で飲まれるケースも出てきている」。

 販売チャネル別では、コンビニチャネルではもちろんのこと、ECでのケース販売とスーパー・量販店での6本パック販売が特に好調となっている。

 この勢いを加速させるべく、今後はSNSを活用したコミュニケーションを強化していく。

 「食物繊維の市場は、世界的にも非常に伸び盛りになっている。日本でも注目され、様々な形態で摂取される中で、『ファイブミニ』は科学的根拠とデータに基づき開発された、リフレッシュの要素も兼ね備え、美味しく、おしゃれに食物繊維を手軽に摂れて継続しやすいといった点で唯一無二だと思っている。そのような製品特徴を活かしながら時代の変化に合わせた情報の提供と、新たな取り組みを展開し、皆様の健康の維持・増進に貢献していきたい」と意欲をのぞかせる。