今こそ内麦振興を

ロシアの軍事侵攻に対してウクライナの反転攻勢が続いているものの正確な戦況は伝わってこない。両軍が戦果を主張しており情報戦は激しさを増す。

▼ロシアが7月中旬にも黒海穀物合意からの離脱を検討していると報じられた。途上国の穀物需要は高まり続ける。ロシアはアフリカ諸国に食料を無償支援することで関係を強化したい考え。ウクライナ南部のダム崩壊では農地も水没。野村農水相は「世界の小麦市場への影響は限定的」と述べたが国際相場は反発。

▼ウクライナの22~23年小麦輸出量は1千500万tで、23~24年産は1千150万tに減る。欧州の大穀倉地帯が戦場と化した影響は小さくない。市場に混乱が生じ、グローバルな食料安保が脅かされることがあってはならない。

▼日本では小麦の9割を米、加、豪からの輸入に頼っている。CVSをはじめ内麦使用の動きも目立ってきた。内麦振興は改正される「食料・農業・農村基本法」のポイントの一つ。輸入に頼らない国内安定調達の実現はもちろん、農業経営の安定化、後継者不足の解決にも期待がかかる。