高品質な乳製品を世界140以上の国・地域に輸出している、欧州の農業大国アイルランド。生産量は国内消費量を大きく上回り、その規模は昨年までの8年間で80%増と急成長を続ける。
ドイツ、アメリカでそれぞれNo.1、2のバターブランド「ケリーゴールド」をはじめ、世界の一流乳製品ブランドを創出。これを可能とするのは、高い技術力と最新の設備があってこそ。酪農農家から加工・製品化まで、すべての過程に導入された最新テクノロジーもその一つだ。世界の顧客が要求する厳しい基準を満たし、時代とともに変化する要求にスピーディーに対応する産業構造により、高品質な乳製品を生み出し世界中に安定した供給を提供している。
原料となる生乳を生み出す乳牛は、年間平均240日間を牧草地で過ごす。飼料の95%を占めるのが、栄養豊かな自然の牧草だ。家族経営の伝統的な酪農法によりたっぷり愛情を注がれた乳牛の生乳と、優れた先進技術、さらに国家的サステナビリティプログラムにより、世界でも高く信頼される乳製品が作られている。近年は脂肪とタンパク質のレベルも向上し、世界中でニーズが高まっているグラスフェッド乳製品の供給を可能にしている。
世界140以上の国と地域に乳製品を輸出する。とりわけ日本への輸出は、アイルランドが世界的な乳製品の供給国であることの認知の高まりと、2018年に発効した日EU経済連携協定(EPA)の効果から急増。アイルランド産乳製品の対日輸出額は、22年も前年比36.2%と躍進が続く。このうち主力のチーズが33.9%増と全体をけん引。カゼイン、濃縮ミルクたんぱく質も、まだ数量は少ないものの、同様の伸びを記録している。
大きな成長を続ける、サステナブルで高品質なアイルランド乳製品。その品質、味、機能性とともに、生産過程で厳しい基準を遵守していることで世界的に知られる。これにより、バイヤーにとって重要な基準である最高の品質を確保した乳製品を、安定的に供給し続けている。
家族経営の農場が大半を占めるアイルランドの酪農は、持続可能性と品質基準に関して世界トップクラス。乳製品生産量は過去10年間で大幅に増加し、2015年から2022年にかけては38%増。それでも、品質や持続可能性へのコミットメントに一切の妥協はない。
持続可能性支えるユニークな国家プログラム「オリジン・グリーン」
こうした持続可能な食品・飲料の生産を支える同国独自の国家プログラム「オリジン・グリーン」は、今年で10周年。アイルランド産の食品・飲料輸出の90%に及ぶ55,000の生産者や300企業がメンバーとして参加する。その基準と価値の向上において飛躍的な進化を続けるプログラムとして、世界市場で優位性を発揮する。
その重要性の一端を示すのが、環境負荷低減に果たす大きな役割である。
あらゆるステージで独立した監視と検証を行うアイルランドの酪農は、温室効果ガス排出量において世界で最も負荷の少ないシステムのひとつ。乳牛の群れに自然な屋外放牧環境を提供する牧草ベースの酪農システムは、栄養価の高い食事を提供することで動物の福祉を支えるだけでなく、他の主要な牛乳生産地域と比較して、少ないCO2排出量で最高品質の乳製品を生産することを可能としている。
生乳1kgあたりの生産によるCO2排出量は平均0.97kg。「オリジン・グリーン」のプログラムを通して、排出量を過去8年間で7%削減することに成功している。
この10年間で、アイルランドの食品・飲料の輸出は順調に成長し、現在では輸出額が130億ユーロを超える規模に達した。「オリジン・グリーン」はその成長と長期的な供給の保証に重要な役割を担っている。
アイルランドから日本への主な輸出品は、牧草飼育の乳牛の最高品質の牛乳から作られるグラスフェッドチーズ。そして世界市場で確固たるブランドを築くバターとともに、グラスフェッド乳製品の特徴である天然由来のベータカロチンによる独特の黄色が大きな特徴だ。世界の総供給量の約15%を占めるカゼインについても重要な供給国としての地位を占めるほか、特注の粉末乳製品や乳製品ソリューションなど、他のカテゴリーも成長への大きなポテンシャルを秘める。
高度なニーズにきめ細かく対応 日本市場で育まれる緊密なパートナーシップ
これらの成長を支えるのが、日本市場のニーズに対する深い洞察力とともに、サプライチェーン全体にわたる専門知識である。
「アイルランドの乳業界は、どのような製品が特定の用途に適しているかを判断する専門家」と説明するのは、アイルランド政府食糧庁(ボード・ビア)ジャパンマネージャーのジョー・ムーア氏。
「お客様と緊密に連携して、例えば、とろけるチーズの焼き色や伸びる具合、外食サービス向けのスライスチーズ、シュレッドチーズ、キューブスタイルチーズ、またテーブルチーズやバターの正しい有機特性の特定など、機能性に関するニーズを把握しています」。
日本の顧客からの要望に応え、特別なチーズ製品の開発などを行う企業もあるという。近年はこの分野に多くの投資が行われており、乳製品の粉末製造は得意分野のひとつだ。乳児用粉ミルク、臨床栄養、スポーツ栄養、成人栄養などの領域で、顧客の高いニーズに応える。
「日本のお客様とのパートナーシップは、密接な関係構築を通じて育まれてきました。日本のパートナーと緊密に連携し、乳製品やソリューションに関する日本の消費者のニーズをしっかりと理解しています」(ムーア氏)。
日本ではヨーロッパ連合(EU)との協力キャンペーン、ヨーロピアン乳製品fromアイルランド「アイルランド、自然との共生」が、2022年4月より始動。アイルランドが高品質かつサステナブルな方法で生産されたヨーロピアン乳製品の原料供給国であることを訴求する。
今年は3月に開催された「国際食品・飲料展FOODEX JAPAN2023」に出展したのを皮切りに、業界向けセミナーや、酪農関連メディアの生産現場の視察取材を実施。これらの活動を通じて、日本市場へのアピールを強めている。
「EUとアイルランドは、持続可能な方法で生産された高品質の乳製品にますます価値を求める日本の地元企業との良好な関係を歓迎しています。また日本の顧客は、品質、食品安全、とりわけ味に関して非常に高い期待を持っていることを理解しており、私たちのヨーロピアン乳製品 from アイルランドはその期待に十分応えられると確信しています。2023年は、ヨーロピアン乳製品fromアイルランドの認知度を高め、既存パートナーはもちろんのこと、新たなパートナーシップも積極的に構築していきたいと考えています」とムーア氏は語る。
アイルランド政府食糧庁は、日本とアイルランド企業の架け橋をサポートしています。アイルランド乳製品にご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。
アイルランド政府食糧庁Bord Bia
Tel: 03-3263-0611 tokyo@bordbia.ie