テーブルマークは、業務用ユーザー向けに外食・デリカなど現場の課題解決に応えながら重点商品の拡販に注力している。直近ではホテル需要の回復で焼成冷凍パンが好調だ。「本場さぬき」にこだわった冷凍うどん、独自の手焼き製法が特長のお好み焼きなども市場で存在感がある。業務用を担当する戦略本部マーケティング戦略部の多原規剛氏、営業本部営業戦略部の川岡正典氏に近年の取り組みを聞いた。
焼成冷凍パン、品質評価に手応え
業務用製品の開発方針について「現場の“ニーズ”と当社の“シーズ”を掛け合わせて需要に応えていきたい」と話すのは多原氏。おいしさの追求に加え、パン・デザートであれば自然解凍による利便性、調理加工品であれば独自機能によるオペレーション改善を訴求している。「人手不足などの課題解決を目指す提供者(=ユーザー)と、喫食時の味わいや手軽さを重視する生活者の両面を意識した開発に取り組んでいる」(多原氏)。
重点商品のうち、22年度は焼成冷凍パンの販売がコロナ禍前の19年度比で二ケタ増と好調だった。「ディライト ベーカーズ」と銘打ち、「胚芽ロール」「バターロール」「クロワッサン」などを展開しているが、これまで培ってきた冷凍加工技術や発酵技術により、自然解凍でも焼き立てのおいしさを楽しめることが特長だ。軽くリベイクするとさらに風味や香りが増す。
プラス要因は、ホテルのビュッフェが営業を再開した追い風が大きいものの、多原氏は「人手不足の中で当社パン製品の品質が支持されている。これまで地道に訴求してきたことが浸透しつつある」と手応えを話す。川岡氏は「コロナ禍で外食は苦戦を余儀なくされたが、その間に病院・施設などを開拓してきた実績も土台にある」とした。一方、直近の冷凍うどんはフル生産の状態が続いているという。看板商品は「丹念仕込み 本場さぬきうどん」。「『本場さぬき』をうたえるように業界の基準をクリアした原材料の配合や製法もこだわりの一つで強みにつながっている」(多原氏)。
現場の多様なニーズに合わせ、メニューの幅が広がる割子タイプ、流水解凍できる「流し麺」、病院・介護・学校向けに麺の長さや柔らかさを改良した商品群も揃える。
山芋焼きにスリット加工、手で4分割に
23年春、山芋焼きなどを手で1/4に分割可能な“クオータースリット”を新たに導入した。新商品「にらだく!イカチヂミ(特製ダレ付)」とリニューアル品「山芋とろ~り焼き クオーター」の2アイテムで、量販店のデリカ向けを中心に好評を得ている。提供現場では手で簡単に割れるため包丁が不要で、スチコンや油での調理時間短縮も実現。販売時に4分割してあれば喫食者はおかずやおつまみにそのまま使いやすい利点もある。
かねてより、ビュッフェなどに向けロールケーキの豊富なラインアップを強みとしてきたが、昨年春から「カット済みロールケーキ」に注力する。解凍して並べるだけで本格的なスイーツが提供可能。定番の「プレーン」「紅茶」などに加え、今シーズンは「宇治抹茶」「アルフォンソマンゴー」を投入した。「人手不足を背景に引き合いが増えている。ビュッフェはデザートを楽しみにされているお客様が多い。期待に応えられる品位にこだわった」(多原氏)。