みそ、醤油、みりんなど醸造文化が盛んな中部エリア。近年は人口減少や和食離れなど苦戦する調味料メーカーが多い中、長年培った技術や地域ならではの原料を生かした新しい「ご当地調味料」を開発。世界各国の味が家庭で簡単に再現できる商品もあり、既存商品の消費掘り起こしに取り組んでいる。
「こいくちソース」「焼そばソース」「トマトケチャップ」などを展開し、中部エリアで高い支持を得ている『コーミ』(名古屋市)。今春夏では、タイの屋台などで食べられるタイ風焼きそば・パッタイの味を再現した「パッタイソース」、濃縮レモン果汁と三重県産のすりおろしマイヤーレモンを使用した「レモンペッパーソース」を発売。キャンプ人気が高まっていることに着目し、家でもキャンプのようなワクワクできるメニューが手軽に楽しめる使い勝手の良い調味料を目指し開発した。
淡い琥珀色で素材本来の色を生かし、甘みが素材のもつ風味をまろやかに引き立てる「白しょう油」を200年にわたり作り続けている『ヤマシン醸造』(碧南市)。白しょうゆとエキストラ・バージン・オリーブオイルの中に8種類のスパイス・ハーブを加えた。手軽にイタリアンテイストが楽しめる新しい白しょう油のオリジナルソースで、ドレッシングやパスタソースなどとしても活用できる。
レギュラータイプの「オリーブ白しょう油」をはじめ、爽やかな「レモン風味」、トマトの口当たりでハーブの香り豊かな味わいの「トマト風味」、ピリッと風味豊かな味わいを加えた「ゆず胡椒風味」もラインアップしている。
日本初のチューブマヨネーズを開発したほか、片手で簡単に開け閉めできるポンカチキャップのドレッシングなどおいしさと使いやすさにこだわった商品を展開する『エスエスケイフーズ』(静岡市)。近年はみんなが同じ食卓で料理を食べられるよう、アレルギー特定原材料7品目不使用のドレッシングや「たまごを使っていないマヨネーズタイプ」などの品揃えを強化している。
今期は、「おうちで世界の味が楽しめる」シリーズの新商品「トリュフクリーミードレッシング」、リニューアル商品「TACO SALADドレッシング」を発売した。
「トリュフクリーミードレッシング」は、黒トリュフを使用することで香り高いトリュフの風味が堪能できる贅沢なドレッシング。
「TACO SALADドレッシング」は、ハラペーニョやコリアンダー、チポトレ、クミンなどの香辛料を効かせたピリッと辛く、スパイシーでクリーミーなドレッシングに仕上がっている。
コーン油やなたね油をはじめ、高純度の粉末レシチンの精製を工業的に初めて成功した世界有数のレシチンメーカーの『辻製油』(松阪市)。アグリ事業では、三重県南部の地域活性化のため年間を通して様々な柑橘類の栽培に取り組んでいる。
また三重県産の柑橘を使用したドレッシング「みえどれシリーズ」の「マイヤーレモン」「ゆず」をそれぞれ今年2月に発売した。
「マイヤーレモン」は、レモンとオレンジの自然交配で誕生した希少性の高い国産マイヤーレモン。まろやかな酸味とほのかな甘みが特徴で、サラダをはじめ、豚しゃぶ、唐揚げ、マリネなどとも相性が良い。
「ゆず」は、優しい酸味と軽やかな香りが特徴で、サラダのほか、納豆、カルパッチョ、湯豆腐などの味変への活用をおすすめしている。
このほか三重県立相可高校調理クラブの生徒と共同開発した「黒にんにく入り松阪牛万能だれ」なども人気が出てきている。
単体のみそ醤油などの調味料が減少する一方、簡単に味付けができる万能調味料、特定の料理が再現できる専用調味料は今後も需要が広がっていくとみられ、食品として流通できない原料の活用や伝統調味料のリブランディングなどにも期待が高まっている。