東京農業大学は5月20日、大阪市のあべのハルカスで「海の豊かさを守ろうシンポジウム」を開催。海洋研究に関心を持つ高校生を中心に150人が参集したほか、オンラインでも250人が参加した。
冒頭、あいさつに立った江口文陽学長は「現在、日本で一番高いビルであるあべのハルカスから海洋や農学を見渡し、今後何をすべきか考える機会にしたい。今、高校生で卒業後に農学系分野を目指す人は3%しかいない。もっと多くの人たちに食や生活を豊かにする学問領域に来てもらい、食料の安定供給が充実した日本、そして世界にしていかなければならない」と述べた。
会では同大学のほか、共催の近畿大学、東京海洋大学の教員が最新の海洋研究について紹介。このうち、東京農大の市川卓准教授はサケと地域をテーマに、サケの来遊数が急減している現状を報告。「サケは地域の様々な産業に関わっている。その資源を守るため、増殖事業が重要だ」と強調した。
続いて3大学の学生が、それぞれタコやアザラシなどの実学を通した研究について、自身の体験を語った。
また、特別対談ではココリコの田中直樹氏が登壇。東京農大・中川至純教授と、海の豊かさを守る取り組みについて意見を交わした。MSC(海のエコラベル)ジャパンアンバサダーを務める田中氏は「MSCの活動を通し、このような場で専門家や学生の方々のリアルな話を聞く機会が得られることがありがたい。その場で終わりにするのではなく、ほかの場所で伝えるような橋渡し的な役割ができたら良いと考えながら活動している」と話した。