“汗の飲料”「ポカリスエット」に好機到来 多様化した健康・発汗ニーズへ細やかに対応

 近年の社会環境の変化で生活者のストレスが増大しているとみられる中、汗をかくことはストレス解消の一手段として着目されており、発汗により失われた水分を速やかに補給する“汗の飲料”である「ポカリスエット」(大塚製薬)にとって追い風になりそうだ。

 取材に応じた大塚製薬の原康太郎ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャーは、水分補給そのものが昨今非常に注目されている健康法とした上で「ストレス解消法のひとつとしての散歩や運動、温浴での発汗に細やかに対応していきたい」と語る。

 ただし「ポカリスエット」を特定のシーンに絞り込むのではなく、“飲む点滴液”というアイデアから生まれた汗の飲料として、日常生活におけるあらゆる汗を感じるシーンにおいて失われた水分と電解質(イオン)を補給できる飲料であることを引き続き訴求していく。

原康太郎ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー - 食品新聞 WEB版(食品新聞社)
原康太郎ニュートラシューティカルズ事業部製品部ポカリスエットプロダクトマーケティングマネージャー

 「ポカリスエット」は、多様化した健康ニーズ、特に発汗を応援できるブランドとして展開している。

 「発売当初から一貫して“体液が失われたときに速やかに水分補給ができ、長く水分を体内に留められる”という訴求を行っている」と述べる。

 今年も、熱中症対策だけではなく、日常的な水分補給の大切さを伝えていくことに重きを置いたマーケティング活動を展開していく。

 アイテム別では、昨夏から大きく伸長している「ポカリスエット イオンウォーター」は「ポカリスエット」のもう1つの選択肢としての提案を続け勢いを加速させる。

 「ストレス解消など多様化する健康ニーズのなか、特に発汗に関しては『ポカリスエット』が幅広く応援できるブランドだと思っている。天然甘味料の糖質を使用しカロリー控えめでスッキリした味わいの『ポカリスエット イオンウォーター』も、水分補給の選択肢としてあるということを継続して提案していく」。

 昨年は、この取り組みも奏功して6月からの急激な気温上昇に伴い「ポカリスエット イオンウォーター」はブランドの成長を牽引。「ポカリスエット」ブランドは昨年、前年比13%増の2739万ケースを記録した。

 「気温上昇によりトライアルを獲得でき、『ポカリスエット イオンウォーター』の味わいを体感いただき水分補給の選択肢の1つに加えていただいた。『ポカリスエット』と使い分けされているユーザーも多く、日常的な水分補給として浸透している」と振り返る。

 「ポカリスエット イオンウォーター」はサウナ公式飲料としてサウナや温浴での飲用を訴求。入浴(約41℃のおふろに15分間、入浴後30分間の安静を含む)で失う水分は約800mlとされ、入浴前の飲用もポイントとする。

 水分補給のニーズやシーンの多様化を受けて「ポカリスエット アイススラリー」や「ポカリスエット ゼリー」も強化していく。

 「ポカリスエット アイススラリー」は、一般消費者における熱中症対策としても広めていくが、暑熱労働環境下で働く方への訴求にも引き続き重きを置く。

 「かねてより厚生労働省の『STOP!熱中症 クールワークキャンペーン(職場における熱中症予防対策)』にのっとって、作業開始前に予め深部体温を下げ、作業中の体温上昇を抑えるプレクーリングに好適なものとして訴求してきた。行動を起こす前に飲み、体を冷やした状態で活動することで熱中症予防対策ができるポイントを啓発していく。工事現場などでは、作業前や、休憩中に冷たいパッケージを手で揉みながら飲んでいただいている」と語る。

 「ポカリスエット ゼリー」については、ゼリー飲料市場が拡大していることも追い風に提案を強めていく。

 「ポカリスエットブランドとしての水分補給機能をプラスし、ゼリーならではのおいしさや食感としてのメリットをご提案し、年齢を問わず手に取っていただきたい」という。

 昨年は主に日常の飲用シーンを獲得して伸長した「ポカリスエット」ブランド。今年は人の動きが活発になることを期待し外のシーンでの活躍も見込む。

 さらなる拡大に向けて今春から恒例の若年層をコミュニケーションターゲットにしたプロモーションを展開している。

 「『ポカリスエット』は若々しいブランドでありたい。若者向けのプロモーションも継続しつつ、市場を盛り上げていきたい」と語る。

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