アサヒビールとキリンビールは、環境負荷の低減とトラック不足等の解決を目的に、関西~北陸間の共同輸送を本格稼働させた。両社は石川県金沢市の日通専光寺物流センター内に、共同配送センター(敷地5千坪、建物1千200坪)を開設。北陸エリア商品の主な供給工場をアサヒビール吹田工場およびキリンビール神戸工場に変更し、大阪府の吹田貨物ターミナル駅から日本貨物鉄道(JR貨物)の空コンテナを利用して鉄道で輸送する。金沢の共同センターでは日本通運が運営し、両社製品を管理する。1月24日から石川県内における配送を開始、今年10月には富山県へエリアを拡大する。
これまで両社は愛知県、滋賀県にあるそれぞれの工場から北陸まで、200~300㎞のトラック配送を行ってきたが、ドライバー不足は深刻であり、また中心世代の40~50代が半数を占め、29歳以下は10%未満と高齢化も進んでいるため、新たな物流体制の構築が共通課題となっていた。さらに地球規模の問題でもあるCO2、温暖化ガス削減も共通課題の一つ。今回の協業を通じて、年間で長距離トラック1万台相当(35%の削減)を鉄道にモーダルシフトして、年間2千700t(56%相当)のCO2削減を見込む。
19日には、大阪府の吹田貨物ターミナル駅でアサヒ、キリン、JR貨物、日通の4社による共同輸送列車出発式を開催した。佐藤郁夫アサヒビール取締役兼執行役員が、共同物流の概要を説明し「この画期的なモーダルシフトが、業界を超えて広まっていくことを期待したい」と話した。石井康之キリン取締役執行役員は、取り組みのポイントを簡潔にまとめた後に、「競争すべきところ、協調すべきところを区別した意義のある取り組みだ」と強調した。
また今回の取り組みは製造業が進めるモーダルシフトにおいて、初めての物流総合効率化法による「総合効率化計画」に認定されたことで、出発式では国土交通省近畿運輸局より認定証の授与が行われた。