錠菓 新しい生活様式で右肩上がり 連載・アンダーコロナキッチン第2章「需要激変」〈12〉

92年に錠菓(タブレット菓子)の「フリスク」が日本に上陸し菓子業界に新しい市場が生まれた。その後の96年に「ミンティア」の発売が市場拡大に貢献し、錠菓市場は右肩上がりで約350億円市場にまで成長した。エチケットやリフレッシュにと、特に30~50代の男性に支持され生活に根付いていた。

20年も2月までは前年を上回る推移でこのまま市場拡大するはずだったが、新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)拡大の影響で状況は一変した。

3月に新型コロナの広がりが確認され、4月には緊急事態宣言の発令により外出自粛・テレワークの推進など、日常生活の中で人と接する機会が激減した。ガム市場からの流入が目立った錠菓は、噛むことが少なく捨てることもないなどの商品特徴が支持されエチケットの要素が高い商品。対面の機会が減り、常に持ち歩くものという意識も減少した。

人の動きが戻り始めた6月以降は徐々に回復傾向にあるが、キャンディ市場の流れと比べると回復の速度は緩やかで、同じ錠菓に入る清涼菓子のブドウ糖を90%配合した「森永ラムネ」やビフィズス菌やカルシウムを配合した「ヨーグレット」は10月には前年を超えている。どうせ摂取するなら少しでもカラダに良いものをという意識が消費者に働いているのだろう。

大手2社のプロモーション施策は、アサヒグループ食品が「ミンティア持ってる?」のCMで錠菓の再喚起。クラシエフーズは、リフレッシュの要素やマスク時での食シーンを動画やキャンペーンで訴求している。両社とも来春には新しい生活様式に合った商品を予定しており、市場回復に向け開発を進めている。

錠菓はコンビニや交通系のウエートが高い。市場回復が緩やかな原因は、生活様式の変化のほかにもコンビニの売場変化が影響しているのではないか。「マスクしてたら錠菓は食べないよね」と言うバイヤーもいる。

錠菓を買うシーンが減ったことは否めないが、数字が落ちるとカテゴリーの棚を減らしたり、エンドにあった錠菓やガムを中通路の棚に入れる。ついで買いの要素もあった錠菓やガムはチャンスロスが発生している懸念もあり、売場が市場低迷に拍車をかけている。

コンビニの特徴は何か、立地や“あったらいいながある”便利でパーソナルの欲求を満たしてくれる場所ではないだろうか。パウチタイプなどのパーソナル商品の市場を創出したのはコンビニで、そこが他の小売との差別化につながる。缶コーヒーと錠菓の併売率は高く、まさに個人の欲求を満たす買い方である。錠菓はコンビニにマッチする商品のため消費者に再喚起を促すような売場作りを期待する。

アフターコロナは新しい生活様式が完全に元に戻ることはない。ただ、仕事は続くしリフレッシュが不要になることもない。錠菓はこの正念場からいかに市場を取り戻すか注視したい。

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