ソフトバンク 日本食輸出支援事業を開始 誰もが世界に挑戦できる場

ソフトバンクは、社内起業制度から会社化したumamill(ウマミル)社を4月1日に設立。ITやAIを活用した日本食輸出支援プラットフォームを展開し、日本の生産者・食品(飲料・酒類含む)メーカーが簡単に世界に挑戦できる場を提供する事業を本格始動させた。

現在はシンガポールを対象とし、来年度には2か国を加える予定。東南アジア主要諸国への拡大も検討が進んでおり、将来的にはEU圏、米国、アフリカも視野に入れる。

国内市場は、人口減や成熟市場化などで食の需要は頭打ちまたは減少が予想されるが世界的には拡大。また日本の料理や食材に対する認知や需要も高まっており、自由貿易圏の拡大とも相まってチャンスと言える時代が到来している。

ただ、日本は主要諸国と比べて食の輸出額が少なく、需要拡大に乗り遅れているが、輸出未経験企業、特に中小企業が輸出に取り組むにはさまざまなハードルが存在する。コスト面では基礎調査から商談まで最低でも67万円かかる(ウマミル試算)とされ、実際には数百万円をつぎ込んでも成約に至らないことも多い。また、言語やノウハウ面も障壁だ。

フルサポート型BtoB向けサービスのウマミルはこれらの課題解決が目的だ。国内の生産者やメーカーがウマミルのサイトにアップした商品情報を海外バイヤーが確認。試食品の注文があった場合、国内企業は指定の場所まで発送すれば同社が提携パートナーを通して現地へ届ける。

試食品への評価は国内企業に伝えられ、それに基づき仕様を変更するなどして成約に至ったケースもある。

商談は同社が代行し、成約後のサポートも行う。一連の流れの中で翻訳なども同社が担うことから、登録は日本語で行える。

同社が商品を買い取り海外に販売するため、国内企業側は円で決済できることもメリットだろう。サンプル輸出料が1回につき1万円かかるが、初期費用・月額基本料・成約手数料は無料。サンプル輸出は月2回のため、国内企業側は最大費用が月2万円。同社の売上げは、現時点では輸出時の販売手数料だ。

海外側では、現地商社だけでなくレストラン・小売店もこの流れに参加できるため、ウマミルが営業面を完了させ、ユーザーが仕入れるタイミングで現地商社と連携して効率的に商品を卸すことが可能になる。

昨年7月にベータ版を立ち上げ4月に本格リリース。ベータ版時点でサンプル申し込みが87件、4月中旬時点で成約は20件以上だ。

同社ではデータを蓄積することで、将来的にはカテゴリーや商品特性ごとに販売国や購買層、季節性や価格帯について分析、需要などの未来予測を可能にしたいとする。

輸出やECが難しい中小企業が主なターゲットだが、小規模メーカーとの取引が多い卸業や大手企業からも関心が寄せられているという。また、現地飲食店の利用も多いことから一次加工品や業務用を求める声もある。

現状ではシンガポール側の条件に制約され、温度帯はマイナス20℃まで、加工食品のみを扱うが、対象国の拡大や体制の整備に伴い拡充する考えだ。機能面もブラッシュアップを検討、調理法や食べ方等を動画などで紹介することも視野に入れる。

佐藤晶洋CEOは「システムを活用することで、海外に出られていない人たちを海外に出し、地方を盛り上げたい」と意欲を示している。