日本茶の持続可能な生産に向けてオールジャパンの取り組みが始動した。
日本茶産業や日本茶文化を守ることを目的に、茶業に関わる生産・流通・輸出・産地団体・茶関連企業が一枚岩になった日本茶GI推進委員会が8月27日に設立された。
このスタートを飾るべく、日本茶GI推進委員会は10月21日、東京商工会議所(東京都千代田区)で発表会を開催。「日本茶未来宣言2026」を行い、「日本茶GI応援アンバサダー」の有村架純さんらを招いて盛り上げを図った。

アンバサダー委嘱式に登壇した上川陽子会長は「様々な課題が各産地にある。そのことを克服しながら、対外的に(輸出が)進んでいるこの時期に、日本茶GIをオールジャパンの取り組みとして進めていこうという思いで日本茶GI推進委員会が発足した」と語る。
国内ではリーフの需要が低迷している反面、海外では抹茶を中心に日本茶の輸出が拡大。海外の抹茶需要の高まり、国内の生産現場では煎茶から抹茶原料である碾茶(てんちゃ)への転作が進む。これにより煎茶の生産量が減少し煎茶の価格が高騰。煎茶の不足分を安価な海外産原料で穴埋めするといった日本茶国内需要の空洞化が懸念される。
現に、静岡茶・鹿児島茶ともに、一番茶・二番茶・三番茶の今年の茶価は昨年に引き続き高値基調にある。昨年急騰した秋冬番茶については、やや落ち着いた値動きとなっているものの、例年を上回る水準で推移。一方、緑茶の輸入実績は数量と金額で拡大している。手頃に飲んでいるお茶は、日本茶ではなく海外の緑茶という可能性が高まっている。
鈴木貞美委員長は「(日本茶の)価格が高いというのは決していいことではない。その反動で消費の裾野が減ってしまう。基本は国内でいろいろな方たちに身近に日本茶を楽しんでいただきたい。海外で高く買っていただける高品質な日本茶だけでなく、手頃な日本茶も増やしていき、茶業の方々の経営が成り立つようなことを業界挙げて取り組んでいきたい」と述べる。
高価格なものから低価格なものまで幅広い価格の幅で日本茶の消費拡大を図るべく、日本茶のナショナルGI(日本茶GI)を活用していく。
「日本の茶産業を支えているということを、日本茶GIマークで知っていただき製品選択の際の大きな指標にしていただきたい。海外においても本物の日本茶であることを広く知っていただけるよう取り組んでいく」という。

GI保護制度は、長年育まれてきた品種や社会的評価などの特性を有する産品の名称を地域の知的財産として保護するもの。ナショナルGIとは、地域産品のGIとは異なり、生産地を日本国とするGIを意味する。
GIマークそのものの認知が低いことから、日本茶GI推進委員会では生産・流通・輸出・産地団体・茶関連企業が連携して日本茶GIの認知拡大を含めて日本茶の盛り上げを図っていく。
日本茶GIの申請数は10月16日時点で72件(商品数約500品)。
先駆的に申請した伊藤園は、日本茶GIマークを表示した「お~いお茶」ブランドを9月21日から順次発売している。
その進捗について、発表会後、取材に応じた伊藤園の吉田達也マーケティング本部緑茶ブランドグループマネジャーは「日本茶GIマーク付きの『お~いお茶』に切り替わっている最中で、お客様のご評価はこれからだが、一部の流通様から物凄くご評価いただいている。スーパーさまで今後、GI売場のようなものができる可能性がある」と説明する。
伊藤園は、ポスターやPOPなどのツールを充実させて、10月から11月に向けて日本茶GIを店頭で訴求している。
なお、日本茶GI推進委員会の会員企業・団体は以下の通り。
――日本茶業中央会
――全国茶生産団体連合会
――全国茶商工業協同組合連合会
――日本茶輸出組合
――静岡県茶業会議所
――京都府茶業会議所
――鹿児島県茶業会議所
――三重県茶業会議所
――伊藤園
――サントリービバレッジ&フード
――三井農林
――共栄製茶
――丸七製茶
――鹿児島県経済農業協同組合連合会
――ハラダ製茶
