日本産ブドウ100%を原料に、国内で製造される日本ワイン。10年ほど前まで盛り上がりをみせた市場も、ここ数年は失速しつつある。苦境の打開へ、大手メーカーが初めて手を組んだ。
サントリー、マンズワイン、メルシャンの3社は、日本ワイン共創プロジェクト「Discover,Japan Wine」を発足。企業間の壁を越えて、新たな飲み手を増やそうとの試みだ。
国内ワイナリーは過去10年で200以上増加し、昨年には500を突破。またこの間に輸出数量も3.5倍となった。
一方で日本ワイン市場全体をみると、16年ごろまで成長を続けたもののその後は伸び悩み、23年以降は減少に転じた。次なる成長に向け、市場活性化への新たな取り組みが不可欠となっている。
「日本ワインの購入者数は20年ごろには約300万人いたが、昨年には200万人強にまで減少。新たに手に取る人も少なくなってしまった。品質は上がっているのに、それが知られていない。日本ワインの未来を創るために、新たな飲み手を増やすことが必要だ」。
3社共同で開催した10月21日の発表会で、メルシャンのシャトー・メルシャン事業本部・小林弘憲本部長=写真㊨=が訴えた。
「最初の良い出会い」を
「はじめての日本ワインに、たしかな出会いを。」とのスローガンを掲げる共創プロジェクト。「最初の良い出会い」を増やすことで、新たな飲み手の拡大を目指す。購入者の新規流入を、28年までに25年比150%とするのが当面の目標だ。
手始めに、東京・丸の内で11月8日にかけて開催中の「丸の内 日本ワインWeeks2026」(三菱地所主催)に参画。今まで日本ワインに接点がなかった消費者とつながる機会としたい考えだ。
これに合わせ、3社のワイナリーで「登美の丘ワイナリー収穫感謝祭」「マンズワインフェスタ勝沼」「シャトー・メルシャン勝沼マルシェ」の開催も予定する。
さらに来年は、日本ワインの「新酒」にフォーカス。日本ワインに親しむ入り口とするため、飲食店や産地と連携した企画で新酒文化の醸成を図る。また音楽やアートといった異なるカルチャーとのコラボレーションなども計画する。
そして3年目の28年には、産地との共生を目指したワインツーリズム拡大に取り組む。3社共同のワイナリー周遊、SNSを通じた発信、地元飲食店と連携したイベントなどを検討中だ。
「初めて飲む方のハードルをいかに下げるか。日本ワインは甘い、味が薄いといった先入観を持つ方が今もいるので、それをいかに払拭するかもこれからの課題」(マンズワイン 島崎大社長=同㊥)。
「日本ワインの選びづらさは、面白さの裏返しでもある。産地と品種の掛け算で生み出される物語も、その手前ではすごく難しく見える。タッチポイントを設定し、日本ワインの面白さを広げたい」(サントリー マーケティング本部ワイン部長 宮下弘至氏=同㊧)。
