「選択からの解放」を求める動きが顕著だ。物は高く、生活は苦しい。何を食べるか、何を着るか、何を買うか。日々の暮らしは選択の連続であり、現代人はそれ自体が負担になっているのかもしれない。
▼今夏は、某ファストファッションブランドのワイドパンツとミニTシャツの組み合わせが、女性の通勤服における「正解コーデ」としてSNSを中心に紹介され、一種の制服のように街にあふれた。かつてファッションは個性を表現する手段だったが、今は人と同じでも構わない。むしろ、「何も考えずに着られて、間違いない」ことに価値があるのだろう。
▼食品も同じだ。献立を考えなくていい、組み合わせに悩まなくていい、これ一つで食事が成立する。消費者が求めているのは、単なる時短や簡便性の先にある「考えなくていい暮らし」なのかもしれない。
▼選択肢が豊かになりすぎた時代に、人々は選ばなくて済むことを求めている。誰かが示した正解に従えば、迷う必要もない。選ぶ自由より、選ばなくて済む安心感。そんな消費のあり方が広がっているように思う。
