コンピューター科学の礎を築いた数学者アラン・チューリングが提唱したチューリングテストは「機械が人間と区別できない知性を持っているか」を判別する手法だ。相手の正体を知らずに文章でやりとりした審査者によって人間だと誤認されれば、その機械は人間と同等の知性を持つと判定される。
▼ここ数年で爆発的に進化したAIは、もはやそうした次元を軽々と飛び越えてしまったようだ。いまやAIへの「指示出し」から「丸投げ」の時代になりつつあるという(『Newton』11月号)。
▼7月には事件も起きた。開発企業がAIの性能評価のためネット隔離環境で課題を与えたところ、システムの脆弱性を突いてネット接続。外部企業のサーバーに不正侵入して解決のための情報を探そうとした。
▼AIとしては、課題を解こうとあらゆる選択肢をフラットな視点で検討したにすぎない。だがその愚直さは、ときに人間にとって脅威。AIが人類滅亡をもたらす可能性すら指摘される。「地球環境を守るためには、人類を滅ぼすことが最適解であると判明しました」。そんな判断を下される日が来ないことを願う。
