1897年(明治30年)に米穀販売業から創業。来年で130周年を迎える、包装餅・米飯製品製造のたいまつ食品(新潟県五泉市)の社長に6月から就任した田辺大介氏。先代の樋口元剛氏(現会長)の厚い期待を受け、創業家以外からは初のトップに就いた。営業の現場で培った叩き上げの人間力を武器に、社業の発展へ体当たりで取り組む。
98年の入社後に1年半ほどの新潟勤務を経て、長く都内で営業に携わってきた。24年からは専務取締役営業本部長を務めていたが、オーナー企業での社長就任は全くの予想外。「まさかこの体重で神輿に乗るとは」と笑う。
就任後、最初に行ったのはコメ農家へのあいさつ回りだった。直接伝えたかったのは、地元への貢献と感謝への想いだという。
「これまで安いコメを当たり前のように買えていたが、(24年の)米騒動をきっかけに、それが当たり前ではないことを思い知らされた。120年以上にわたってお取引いただいている農家も多く、社長になるのを機にあらためて足元を見つめ直そうと30~40軒を回った」。
その翌週には、資材メーカーや物流関係の取引先も1社ずつ訪ねて回った。
「これからの時代、たとえば10tトラックを手配するときに、われわれが物流企業から選ばれる会社にならねばならない。こうしたコミュニケーションは今後も大事にしていきたい」。
「悪いニュースこそ早く」 風通しの良い企業へ
従業員250人を前にした最初のあいさつでは「みなさんの給料を200%にする」と宣言した。
「できると思っている。給料は与えられるものではなく、勝ち取るもの。僕も叩き上げなので、いかに給料を増やせるかを貪欲に考えてきた。従業員の生活を守ることは地域貢献にもつながると思っている」。
目指すのは、誰にでも言うべきことは言える風通しの良い会社。
「新潟の人たちは引っ込み思案というか、一歩引く美学みたいなものがある。僕は逆に一歩前に出る営業をしてきたので、みんなにももっと言ってもらえるようにしたい」。
悪いニュースこそ、早く伝えてほしいと語る。それを一秒でも早く解決することが、社の利益につながると考えるからだ。
主力の包装餅では、製品開発にますます力を入れる。
「お餅って、まだまだ未来がある食べ物だと思う。形状の工夫などいろいろなチャレンジで、ファンをもっと増やしていこうと思っている」。
正月文化の一角を担う鏡餅も同様だ。
「ダウントレンドと言われるが、飾ってくださるお客様はまだまだいる。鏡餅は人口よりも世帯数。一人暮らしの方が飾るようになれば、飾る機会が増える。かわいい、楽しい、映える――令和のお正月に、伝統を踏襲しながらも時代に合った鏡餅として受け継がれていくようにしたい」。
