ヤクルト本社は9月11日、メディア向けにヤクルト中央研究所(東京都国立市)の見学会を開催した。研究施設や代田記念館を公開するとともに、乳酸菌シロタ株を巡る最新研究を紹介。長年蓄積してきた疫学研究や腸内フローラ研究など、健康長寿に向けた研究の広がりを示した。
同日発表したのが、シロタ株を含む乳製品の習慣的な摂取と全死亡との関連を調べた研究だ。東京都健康長寿医療センター研究所と進める「中之条研究」の一環で、2014~18年に参加した中之条町在住の高齢者1280人を2025年末まで追跡。過去5年間の摂取頻度から週3日未満と週3日以上に分け、全死亡との関連を調べた。
その結果、週3日以上摂取していた男性高齢者は、週3日未満の群と比べて全死亡リスクが有意に低かった。中央研究所食品研究所食品第五研究室の牧野博室長は、長期にわたる研究について「昔から長く皆さんに飲まれていた実績があったからこそ出た研究」と説明。高血圧や便秘、貧血など、これまで確認してきた健康指標との関連や、免疫作用など複数の要因が関係している可能性を示し、「死亡というのはいろいろなことが複合的に作用する。これからメカニズムについて解析していきたい」と意欲を示した。
また、シロタ株の摂取による腸内環境の改善や感染防御が長期的な健康維持に関係し、寿命の延伸につながっている可能性にも言及。「特定の食品が寿命の延伸につながる可能性が示されたことは非常に意義がある」と話した。
「健腸長寿」へ研究を深化
免疫研究室では、ヒトの血液から目的の免疫細胞を分離・染色し、専用の分析機器で細胞の種類や活性化状態を測定する研究を紹介した。今回のような大規模な試験では、中央研究所で構築した分析手法をCROにも共有し、被験者ごとのデータを確認。機器上のわずかな違いも研究者が目視でチェックするなど精度を高めているという。
腸内フローラ解析システム「YIF-SCAN(イフスキャン)」も公開した。個々の腸内細菌が持つ特徴的な遺伝子配列(RNAとDNA)を目印に、菌を選択的に定量する独自の解析システムで、現在主流のメタゲノム解析では捉えにくい少数派の菌まで検出・解析できる点が特徴。加齢に伴う腸内細菌の変化など、様々な研究に活用している。

中央研究所長の長岡正人常務執行役員は冒頭のあいさつで、創業者・代田稔博士が掲げた「予防医学」「健腸長寿」の考え方を紹介。1930年のシロタ株の強化培養成功を起点に、腸内細菌研究を深め、分析技術や安全性評価、食品・医薬品・化粧品など研究領域を広げてきた。今後もシロタ株をはじめとするプロバイオティクスの作用解明を進め、研究成果を新たな健康価値につなげる。
