首都圏で売上高1兆円規模のスーパー事業を展開するユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(U.S.M.H)。グループ会社4社で約760店舗と業界屈指の優良アセットを有するが、その強みを最大限に生かすべく統合シナジーの創出を加速させている。
トップ就任2期目を迎えた井出武美社長は「生鮮・デリカの強化、プロセスセンター(PC)の活用、仕入・物流の統合など、一つひとつの課題に取り組むことで必ず収益を向上させられる」と語った。
喫緊の課題にはデリカの強化を挙げる。その一環で3月に商品戦略本部内に「デリカ商品部」が発足。グループ4社(マルエツ、カスミ、いなげや、イオンフードスタイル)のバイヤーと主力品を中心に共同開発を進めている。
「一番大事なのはお客様に良い商品を届けて価値を実感していただくこと。前期は4社で加工食品、日配食品の仕入れを統合したが、今期はデリカでも共同仕入や共同開発を推進。原材料・資材等の集約はコスト削減に加え、開発のスピードアップも期待できる。さらなる品質向上につなげたい」と話した。共同開発したデリカは下期にかけて順次発売していく。
まずは新たな試みとして、各社既存の人気商品を会社が異なる店舗に販売することも始めた。「フードスタイル船堀店」(7月開店)では、マルエツの豚ロースカツ、カスミの塩唐揚げ、いなげやの大海老天重などを取り扱う。「各社が持っている強みをグループ全体の力にできれば」との狙い。
デリカ強化と並行して、PCの改革も進行中。現状は各社が個別のセンターを利用しているが、24年稼働の「マルエツ草加デリカセンター」からはフードスタイル、いなげや、カスミにも一部商品を供給する。

ただし「当社はまだまだキャパシティ不足」と指摘。「4社で首都圏に約760店舗を展開し、本来ならPCを非常に有効活用できる体制だが、需要に対して十分に供給できていない。逆に言えば販売拡大と効率化の余地がある。近い将来にも新規投資が必要になってくる可能性がある」とした。
今後、各社のPCや物流センターの相互活用も視野に入れながら、物流共同化とシステム統合を計画する。
出店は“グループ最適”の視点でエリア戦略と店舗戦略を推進。直近は3月に始動した「フードスタイル」の手応えが大きい。都市部店舗の全面改装が奏功しており、「三田店、代官山店、船堀店など順調に売上が伸びている。好事例は他店にも波及させていく」と説明。

マルエツ、カスミ、いなげやについては「それぞれの地元でドミナントを形成し、ブランドロイヤリティを高めてきた。その“本丸”で強い存在であり続けることも重要」との考えを示した。
一方、イオングループで要職を歴任してきた井出社長は、U.S.M.Hグループ各社にイオンの基本理念をはじめ、歴史やビジョンを共有する役割も自ら買って出ている。「毎月の合同朝礼で紹介している。個社の理念も大切だが、根底にあるイオンとしての理念を共有することは大切との考え」とし、「イオンとのシナジーを追求しながら様々な機能統合を進めていくが、一方で互いの理解を深めるため定性的な視点での取り組みにも注力したい」と話した。
