ビール類酒税一本化まで4か月あまり。これを見据えて10年前から着々と計画を進めてきたキリンビールは下期、過去最大のマーケティング投資で新局面を迎え撃つ。5月27日の発表会で方針を明らかにした。
「16年12月に(酒税一本化を含む)税制改正大綱が発表されて以来、ビールの魅力化へ商品開発やブランド育成を継続。今の環境変化を想定して、先々のさまざまな計画を立てながらこの10年間進めてきた」。執行役員マーケティング部長の今村恵三氏が力を込めた。
これを象徴するのが、10月の酒税改正後に予定する「本麒麟」のビール製法化リニューアルだ。原料の麦芽比率を引き上げることで、これまで新ジャンル、第三のビールなどと呼ばれてきた「発泡酒②」から「ビール」へと格上げして11月4日から発売する。

飲みごたえと飲みやすさを両立させるとともに、進化を直感的に感じられるデザインに変更。価格は酒税率アップ分(350㎖あたり約7円)の転嫁のみで、引き続きエコノミー価格帯のビールとして販売される見通し。
「価格を超えたうまさ」抜本進化
本麒麟は18年3月発売。「8年後の酒税一本化後にビール化することをあらかじめ想定していた」(今村氏)と明かす。
毎日飲める手ごろな価格とビールらしいうまさを追求し、毎年リニューアルを重ねること9回。満を持して踏み切るビール化で「価格を超えたうまさ」を抜本的に進化させる。
「毎年、愚直にうまさを磨き続けてきた。開発当時から温めてきた念願のビール製法化で、すべてのお客様の生活に本当の『うまい』をお届けしたい」。初代ブランドマネージャーを務めた、ビール類カテゴリー戦略担当の木村正一マネージャーが語る。
同社マスターブリュワーの田山智広氏も「キリンのDNAをいちばん引き継いでいるのが本麒麟。麦芽の使用比率など制約の多い新ジャンルとして誕生したが、品質には一切妥協せずラガーの伝統をしっかり継承している」と自信を示した。
旗艦ブランド「一番搾り」も、酒税一本化でビールに注目が集まるタイミングに合わせ刷新。キリンのおいしさポリシー「ヴァイタートリンケン(飲みやすく、飲み飽きない)」を、今の時代に合わせて進化させた。
「ポイントは、個性に少し修正を加えたこと。近年の嗜好変化に合わせ、主体とする麦のうまみを少し控えめにしながら、雑味を減らした。糖化方法を変えることで、きれいな麦のうまみを引き出している」(田山氏)。
よりすっきりと現代的な味わいに生まれ変わった「一番搾り」。酒税が一本化される10月1日からは“ビールに明るく誘い込む”新コミュニケーションを過去最大規模で展開する。
リニューアルに合わせ、空気中の窒素を活用することできめ細かい泡を生み出す新技術採用のサーバーから注ぐ「極みの泡 一番搾り」を、全国9工場の工場見学で提供開始。“泡までおいしいビール体験”を実現する。

さらに一次産業が気候変動などの課題に直面するなか、「新しいおいしさづくり」に取り組む各地の生産者を支援する「一番搾りACTION」にも着手。「晴れ風」「グッドエール」とともに、社会課題の解決へブランドアクションで貢献する。



