アサヒグループ食品は3月14日、東京・豊洲の商品開発センターで「アマノフーズ」ファンコミュニティ会員限定の「開発ラボ潜入ツアー」と題したイベントを開催して、宇宙空間に近い真空環境でフリーズドライ化される「アマノフーズ」のみそ汁をはじめとする商品の価値と価値を創出する技術やこだわりをアピールした。
ファンとの絆づくりと「アマノフーズ」商品の価値発信が目的。
この日、120人の応募者の中から選ばれた20人が参加し、10時から昼食を挟み13時30分まで商品開発の仕事に触れた。「アマノフーズ」のファン向けイベントは昨年の岡山工場見学ツアーに続き今回で2回目。
「アマノフーズ」の即席みそ汁は、最初に家庭で作るみそ汁と同様の工程を踏んで作られる。
まず、みそ・だしを入れてみそ汁をつくる。次に、そのみそ汁を具材とともに1食分ずつ凍結(フリーズ)させて真空状態にしたあと、乾燥(ドライ)させて製造される。
凍結と真空状態での乾燥を組み合わせたこの製造方法をフリーズドライ(FD)製法と呼ぶ。同社では即席みそ汁以外にも惣菜・米飯類・カレー・シチューなど多彩なFD商品を取り揃える。

即席みそ汁において、熱風で乾燥させた他社商品との違いは、減圧(真空状態)によって沸点を下げることで、過度な熱をかけず食品内部まで乾燥させることができ、食材の風味、食感、栄養価、形が残りやすい点にある。お湯を注いでからの復元が早いのも特徴となっている。
減圧によって沸点が下がる分かりやすい例としては高地での湯沸かしが挙げられる。水の沸点は1気圧(海抜0メートル)下において約100度であるのに対し、富士山山頂(約0.6気圧)では約88度となる。
この点、「アマノフーズ」のFD商品は、凍結させた食材を真空凍結乾燥機に入れて高度120キロの宇宙空間に近い状態へと一気に減圧することで、液体を経由せず、氷から直接水蒸気へと昇華させる。水蒸気は庫内で回収され、これにより庫内は真空状態が保たれる。
工場で実際に稼働する真空凍結乾燥機は、大きいもので新幹線一車両分の長さがある。ツアーでは商品開発センターに常設されるラボ機と呼ばれる小型の真空凍結乾燥機を使い、水とマシュマロが真空状態でどのように変化するのかをクイズ形式で伝えた。

商品開発センターには、1フロアに多くの実験台が設置され、各ブランドを担当する計約100人の社員が同じフロアでBtoCとBtoB向け商品の開発に向けて様々な実験を行っている。
昨年の設立以降、担当の垣根を超えて人的交流が活発に行われているという。
取材に応じた湊明義研究開発本部商品開発センター長は「BtoB向けに原料を開発している社員がBtoC担当社員に『この原料についてどう思う?』と意見を求めたり、逆にBtoC担当社員がBtoB担当社員に『こういう商品を作るのに適した原料はないか』とたずねるなど、様々な会話が飛び交っている」と語る。
「アマノフーズ」のみそ汁の開発は、メインの具材に合わせて、味噌やだしなどを試行錯誤して決めていく。ツアーでは、参加者が開発者の仕事を疑似体験。用意された5種類の味噌、4種類のだし、8種類の具材を自由にブレンドして、おのおのがオリジナルみそ汁づくりを楽しんだ。

FDに適さないものは、マイナス30度になっても凍らない液体や皮が分厚いもの、こんにゃく、お餅など。
このような例外を除くと大抵のものはFD化が可能となる。昼食は全てFDで提供された。参加者自らが、桜茶、焼鮭、ポテトサラダ、串揚げ、特製パスタソースとパスタ、おしるこのFDにお湯や水を注いで復元して賞味した。
商品開発センターでは、「アマノフーズ」に留まらずFDへのチャレンジを促している。
湊センター長は「食品は昔から食べられているものであるので、ドラスティックに変わったものを生み出しにくいが、商品開発センターでは新しいものをたくさん作っていかないといけない。メンバーには、いろいろなことをやってほしいと呼びかけている。FDをやったことのない人にも興味があればやってもらうようにしている」と述べる。



